村上虹郎「日本で芸術は圧倒的に弱者」コロナ禍で抱いた危機感
もともとは裏方仕事から映画界に
――そんなお二人の姿から学んだことはありましたか?
村上:「純粋に映画や芸術を愛する者として、ただそこに立つ」それ以外は何もいらないということですね。そういった謙虚さと素直さを学ばせていただきました。逆に翔太や僕ぐらいの年齢の方が、できないことへの悔しさとプライドや自我があって、一番ややこしい世代かもしれないです。
でも、大人になるにつれて、1つひとつがどうでもよくなるというか、「いままで何を気にしてたんだろう」みたいなことはあるなと、ここ数年で感じています。
――なるほど。ご自身も将来的にはプロデューサーや監督といった裏方にも挑戦してみたいというお気持ちはありますか?
村上:僕はもともと映画作りには、役者からではなく実は美術部から入っているんですよ。といっても、そのときはほんの数日間でしたけど(笑)。でも、出会いとしては裏方からでしたし、最近も友達のミュージシャンのPV制作で、スタッフとしてお手伝いしたんですが、楽しかったですね。もちろん、細かいこともいろいろしないといけないので、大変だとは思いますが、興味はすごくあります。
自粛期間は自分にとって必要な時間
――今回の自粛期間は、いままでにない特殊な時間の過ごし方だったと思いますが、だからこそ改めて自分を振り返る時間になったのではないでしょうか?
村上:実は、あのときは自分のなかでも、結構限界に近いところまで来ていて、一番休みたいと思っていた時期でした。経済的に厳しい思いをしている人には申し訳ない気持ちもありますし、僕たち俳優も大変ではありましたが、僕にとっては必要な時間だったなと。たまに長い休みもありますが、あそこまで何もしなかった時期は、いままでなかったと思います。
――そういう意味では、気持ちを新たに入れ替えられるきっかけになったのでは?
村上:そうですね。ただ、いまも完全に終わったわけではないので、一番つらいのは期限がないことじゃないかなと。人によって、この状況に対する希望の持ち方は違うと思いますが、期限がないと人ってがんばれなかったりしますよね。僕も最初から1か月とか決まっていたら、もう少し過ごし方も変わったんでしょうけど、完全にだらけてました(笑)。