大戸屋、客離れは値段が高いから?オイシックスとの提携の裏にある買収劇
コロワイドがTOBで狙うのは
双方にとって有意義な結果をもたらす可能性もありえる連結子会社化。仮に実現した際、コロワイドは他に何をするのでしょうか。
まず、引き続き上場体制を維持した上で、コロワイドグループとして強いリーダーシップを率いる経営体制の刷新を目指す予定です。なお、コロワイドは当初提案していた同社のセントラルキッチンを活用した調理システムをTOB時に撤回して、「店内調理は大戸屋の強みである」との認識を示しています。
もうひとつは、給食事業の拡大です。コロワイドグループは給食事業の展開の加速をめざしており、現在の他社の社員食堂運営を受託の他にも介護施設や病院などへの展開を図る予定です。その際に大戸屋のブランド力やノウハウを有効活用することが見込まれます。
約72億円の買収資金を用意
今回のTOBでは、買付価格は1株につき3081円と設定されています。2020年7月10日から2020年8月25日まで(30営業日)の期間で公開買い付けが実施され、発行済み株式の51.32%の取得を狙います。233万株を上限に3081円で買い付けをおこなうため、コロワイドは約72億円の買収資金を用意。
この価格は、JASDAQにおける大戸屋HD株式の算定基準日(7月8日)の終値2113円、直近1か月間の終値の単純平均値2284円を基に、プレミアム価格を上乗せした形で設定されています。
創業時の理念を守ろうとする現経営陣と、これまでの実績を盾に効率化を図ろうとするコロワイドとの間で揺れる大戸屋HD。岐路に立たされる老舗定食チェーンはどこへ向かうのでしょうか。今後の動きに注目が集まります。
<TEXT/小森ほうめい>