大学講師の私が、コロナ禍で気づいた「人の温かみ」の重要性
社会の仕組みを変えるのは難しい
学生たちは日常を取り戻しつつあるものの、ビジネスパーソンも変化への対応を強いられている。やはり気になるのは職場のテレワーク化や、それに伴うオフィス不要論であるが、いまいちピンとこない部分もある。
7月7日にIT大手の富士通がオフィスの規模を2023年3月までに半減するなど、業務の最適化を発表して話題を集めたが、企業によっては、賃貸物件を中心に解約していき、自前のビルや工場はそのままという事例もある。
そして立ち返らなければいけないのは、緊急事態宣言下でのテレワークは社会的に在宅勤務を“強制”されていたことだ。社会の仕組みを一気に変えるのはやはり難しく、人と対面しなければならない場面はどうしても生じてくる。
そのため、ウィズコロナやアフターコロナを見据えるならば、完全に在宅にするべきか、それともテレワーク化を断念するのか。もしくは、サテライトオフィスを活用するのかなど、複数の選択肢から検討することが求められている。
周波数が合わなければ会いづらい
誰かと会うにも、コロナ禍では時代に即した流儀が求められる。例えば、衛生面への関心も人それぞれだ。
実際、筆者の身近でも厳密に“2メートル”のソーシャル・ディスタンスを測りたがる人もいれば、なかには、マスクを付けたり、アルコール消毒をすることに無頓着な人もいる。そもそも他人と会うこと自体を煙たがる人もいて、だんだんと周波数が合う人としか会いづらい世の中になってきた。
ただ、そんな中で新たな発見もあった。先日、自分が卒業した大学のOB会がオンラインで行われ、例年を超える参加者たちが集まった。毎年、50~60人の参加者で思い出話を肴に飲み放題付きのパーティを開催していたのだが、移動時間などの手間がなくなったために、海外の在住者や子育てに励む主婦のOGなど、本来であれば会えない面子との交流を深めることができた。
世界と簡単に繋がれたはずなのに「なぜもっと早くやらなかったのだろう」と思ったのだが、そこで聞いた各国でのコロナ対策の違いがまた面白かった。