『100日後に死ぬワニ』きくちゆうきが語る、“唯一の後悔”と次回作
時間がもったいないからずっと描いていた
――仕事もせずにですか?
きくち:内職仕事があるときはそれを手伝っていました。なんにもないときは絵を描いてましたね。罪悪感がありましたけど、いいって言うんで(笑)。そのうちイラストをファイルにまとめたものを営業の人に渡したり、ほかにやることもないからアニメを作ろうと思って原画を1000枚描いて、1分半くらいのアニメ動画を作ったりしました。
――それでも毎月の給料はもらえていたんですよね?
きくち:はい。ほかの人に悪いなと思いつつも、時間がもったいないからずっと描いてました(笑)。でもある日、テレビでアイドルが「私は毎日半身浴を2時間してます」って言ってるのを見て、「どうしたらそんな生活ができるんだろうか」と真剣に考えてみたんですよ。
会社員だったら朝9時から夜まで会社にいて、帰ったら寝る。これが60歳まで続くのかって思ったら……いや、会社辞めるっきゃないでしょうと(笑)。絵が描きたいんだし。
――そういった価値観は、20歳で亡くなった親友の影響もありますか。
きくち:そうかもしれないです。彼はやりたいことをやってたし、やりたいことで死んでいきましたから。一方で、俺はなんか会社でちまちまやってるな、よくないなって。やりたいことがあるなら会社辞めたほうがいい、と思ったんですよね。
ネット上の誹謗中傷に思うこと
――今、SNSでも話題になっているネット上の誹謗中傷について、きくちさんの意見を聞きたいのですが。
きくち:やっぱりネットの発言にも責任はあると思っていて。僕もミスをすることはあるけど、やっぱりよくないことはよくないと思うし。そこは書く側が意識を変えないとダメなのかなって。
――きくちさんのツイッターも、フォロワー数が現在150万人にまで膨れ上がっていますね(6月末時点)。
きくち:最初は1万ちょっとだったのが、ピークで220万人になって、そこからだいぶ下がりましたけど、それでもまだ多いかなって。もはや気楽には書き込めなくなってしまいましたね。ただ、作品を発表する点においてSNSは欠かせないです。届ける速さが違いますから。『ワニ』にしても、ネットがある今だから伸びたんだなってのもありますし。
――次回作の構想はありますか?
きくち:もう考えています。漫画です。コンセプトはもうある程度固まっていて、あとはキャラをどうしようかと。