石油価格が「史上初のマイナス」ってどんな事態?日本人への影響は…
産油国の雇用状況が悪化する可能性
そして、ロシアやベネズエラ、シェールオイルを持つ米国などの産油国にとっても大きなマイナスだ。供給が需要を上回る状況が長く続くと、各国の石油産業の衰退が進み、賃金低下や失業など深刻な影響が出てくる。
産油国であるイランでは、米国による経済制裁によって雇用状況が悪化し、若者たちの不満は極めて高い状況にある。そこに今回の石油価格のマイナスが拍車を掛けるならば、イラン経済が受けるダメージは測り知れない。
世界的な石油価格の下落は、経済や金融だけでなく、国家間紛争や暴動、テロなど政治リスクとも密接に関係し、また、そういった政治リスクの影響で受け価格が乱高下するのである。政治と経済は密接に相互作用する時代である。
1つの経済危機によって、経済や金融だけでなく、もっと視野を拡げて考えることがこの先さらに重要になる。
<TEXT/イエール佐藤>