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石油価格が「史上初のマイナス」ってどんな事態?日本人への影響は…

コラム

産油国の雇用状況が悪化する可能性

失業 作業員

 そして、ロシアやベネズエラ、シェールオイルを持つ米国などの産油国にとっても大きなマイナスだ。供給が需要を上回る状況が長く続くと、各国の石油産業の衰退が進み、賃金低下や失業など深刻な影響が出てくる。

 産油国であるイランでは、米国による経済制裁によって雇用状況が悪化し、若者たちの不満は極めて高い状況にある。そこに今回の石油価格のマイナスが拍車を掛けるならば、イラン経済が受けるダメージは測り知れない。

 世界的な石油価格の下落は、経済や金融だけでなく、国家間紛争や暴動、テロなど政治リスクとも密接に関係し、また、そういった政治リスクの影響で受け価格が乱高下するのである。政治と経済は密接に相互作用する時代である。

 1つの経済危機によって、経済や金融だけでなく、もっと視野を拡げて考えることがこの先さらに重要になる。

<TEXT/イエール佐藤>

国際政治学者。首都圏の私立大学で教鞭をとる。小さい頃に米国やフランスに留学し、世界の社会情勢に関心を持つ。特に金融市場や株価の動きに注目し、さまざまな仕事を行う。100歳まで生きることが目標

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