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石油価格が「史上初のマイナス」ってどんな事態?日本人への影響は…

コラム

 新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうなか、米国の石油先物は4月20日、史上初のマイナスに入り込み、マイナス37.59ドルを記録した。

石油価格下落

※画像はイメージです(以下同じ)

 これは間違いなく、感染拡大によって各国でロックダウンが実施され、それによって車や飛行機などの需要が大幅に減ったからだ。どういうことなのか。前回は新型コロナと米イラン危機から見る石油供給の問題について解説したが、今回は「マイナス価格」について解説したい。

石油価格がマイナスってどういうこと?

 2020年初めには、米国とイランの間で軍事的緊張がこれまでになく高まり、石油価格は1月5日、64ドル72セントまで値上がりした。感染症リスクと紛争リスクは、命の危険という意味では全く同じだが、石油価格では全く違う結果を示すことになった。

 もちろん、新型コロナウイルスが石油産油国を中心に猛威を振るっていたら石油価格は高騰するわけだが、石油価格がマイナスになるとはどういうことか。価格がゼロ以上であると、石油を買う側はお金で払ってそれを得るが、マイナスの場合は、売る側が買う側にお金を払ってでも石油を受け取ってほしいという構図だ。

 今回、マイナス37.59ドルを記録したからといって、我々が石油をもらうと同時にお金も手に入れることにはならないが、今回は極めて異常な事態と言っていいだろう。

日本で暮らす人々にとっては朗報?

石油採掘現場

 さて、日本は石油の9割をイランやサウジアラビアなど中東地域に依存し、長年その値段の上がり下がりに翻弄されてきた。中東地域では紛争やテロが絶えないが、その都度日本はその動向を注視してきた。

 石油価格が下がるということは、それだけ安く石油を購入できることになり、日本で暮らす人々にとっては朗報である。

 新型コロナウイルスの猛威によって、全都道府県に非常事態宣言が出され、混雑する電車やバスを利用する代わりにマイカーを利用する人がもっと増えるかも知れない。

 だが、これはあくまでも一時的なことであり、プラスへの逆戻りに時間が掛かるわけではない。石油価格が下がったといって、それにずっと安心しない方がいい。

 例えば、米国とイランの間で再び軍事的な緊張が高まったり、イラク情勢が急変すると、それはすぐに石油価格の高騰に繋がる。

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