厄介者ウニが極上グルメに。三浦の海を救った意外な発見とは?
三浦半島では環境の変化によって増えすぎたムラサキウニに海藻が荒らされる「磯焼け」が問題になっています。ムラサキウニは、身が少なく食用には適さないとされているため、神奈川県が駆除費用を計上して、駆除する他ありませんでした。
そんな状況のなか、神奈川県の水産技術センターの臼井一茂さんを筆頭としたグループが、駆除し、捨てるしかなかったウニを養殖し、極上のグルメに変える挑戦を3年前から始めました。
その試みに注目が集まり、6月5日放送の『ガイアの夜明け』(テレビ東京)で紹介されました。
ウニが増え続け「磯焼け」が三浦半島で問題に
神奈川県横須賀市では、何でも食べてしまうムラサキウニに海藻が荒らされ、魚や貝の魚種や漁獲量が減少してしまう「磯焼け」という現象が問題になっています。
そこで、神奈川県は磯焼け対策に年間480万円を使い、磯焼けの原因のひとつである、増えすぎたムラサキウニを6万匹ほど駆除してきました。
ムラサキウニは身の入りが悪く、磯の匂いも強いため、食用には向かず廃棄するしかないと頭を抱えていました。
食べられないウニが極上のグルメに!
主任研究員の臼井さんを筆頭とした神奈川県の水産技術センターが、3年前から取り組んでいるのがムラサキウニの養殖実験です。実験を進めていくうち、あるエサにウニが食いつくことを発見します。そのあるものというのが三浦半島で収穫したキャベツ。
三浦のキャベツは甘みが多く「三浦キャベツ」としてブランドになっています。それゆえに出荷基準はとても厳しく、収穫したキャベツの約1割は規格外品として、廃棄されてしまっています。
ウニの身の割合がウニの体重の10%ほどあると良いとされていますが、キャベツを食べさせたウニはそれを上回る、平均12%もの身をつけるようになりました。
また、甘味成分も豊富に含まれており、苦味成分が4分の1に低減し、まるで、フルーツのような爽やかな味わいのウニになりました。それは、天然のウニと同等かそれ以上の品質だそうです。
規格外品として集荷することなく廃棄するしかなかったキャベツと、食用には適さず廃棄するしかなかったムラサキウニを掛け合わせることで、極上の名産品へと変貌しました。