伊藤沙莉、25歳のブレイク女優が明かす「仕事人として大切にしていること」
2003年、小学3年生のときに子役としてデビューし、連ドラ『いいね!光源氏くん』(NHK)も好評の女優の伊藤沙莉さん(いとうさいり・25)。
これまでの活躍もさることながら、近年、朝の連続テレビ小説『ひよっこ』、ドラマ『この世界の片隅に』、テレビアニメ『映像研には手を出すな!』など、次々と印象的な役柄を魅力的に演じて人気を高めています。
重松清氏の小説を山田孝之さん主演で映画化した『ステップ』では、妻を亡くし、幼い娘をひとりで育てようと決意したシングルファザーの主人公を支える、保育士のケロ先生を演じています。そんな彼女に話を聞くと、今のブレイクは「夢見心地」「エゴサーチは小6から」という飾らない人柄が伝わってきました。
脚本を読んで電車の中で泣きました
――主人公親子を支えるケロ先生役でしたが、脚本を読まれて、「ぜひケロ先生をやりたい!」と自ら申し出られたとか。
伊藤沙莉(以下、伊藤):そうなんです。もともと飯塚健監督の作品は、先に脚本を読ませていただくことが多くて、毎回、電車の中で読んでから「あぁ、ここで読まなきゃよかった」と思うんです。
電車の中でも笑ってしまうからなのですが、今回は、泣いてしまいました。脚本を読んで泣けるってすごく幸せなことだし、ぜひこの作品に携わりたいと思いました。それこそ「通行人Aでもいい」って言ってたんです。でももし好きな役をやらせてもらえるのなら。
――ケロ先生がいいと。
伊藤:こんなに温かい人ができたら幸せだなと思いました。ここまで真摯に向き合って誰かに寄り添う役って、なかなか頻繁にできるわけではない。登場シーンは少ないですが、とても重みのある何かを残してくれる人だと感じたんです。
ワークショップを見に行った感想
――そこまでいいと感じた脚本、役柄を実際に演じるにあたってプレッシャーというのはないのでしょうか。
伊藤:プレッシャーですよ。やりたいと言うのは簡単ですけど、言ったからといってできる仕事でもないし、やりたいと言っておいて、実際に叶ったら「言わなきゃよかった~」と思ったりもします(苦笑)。今回は、飯塚監督が、事前にワークショップをされていたこともプレッシャーになりましたし。
――というと?
伊藤:監督が、作品を自分自身の中で深めるために、いくつかのシーンをワークショップでやられていたんです。ケロ先生のシーンもあったので、見学に行きました。そうすると色んな人が演じているケロ先生を見ることになるわけです。それで「もう最悪だ」と思って。