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コロナ禍で中国が挑発的行動を繰り返す理由。日本の安全保障にも危機

ビジネス

 新型コロナウイルスが日本でも拡大し、在宅勤務や外出自粛で家にいる人々の不満やストレスの声が多く聞かれる。そんななか、中国は自らの責任を忘れたかのように、各国へ積極的に医療支援を行っている。

中国 海軍

※画像はイメージです(以下同じ)

 それによってより多くの人々の命が救われるなら超したことはない。だが、国際政治的にはひとつの懸念が広がっている。中国による「海洋覇権」だ。国際政治学者である筆者にも特に防衛、外交関係者の間から心配の声が寄せられる。

日米をけん制する中国とロシア

 日本のメディアは、新型コロナウイルスの感染状況について、「東京で3500人を超え、全国で1万2000人に達した」などと繰り返し流している(※執筆4月23日時点)。もちろんこうしたニュースも重要だが、この間も中国は東シナ海や西太平洋など日本近海で米国と日本をけん制する行動を続けている。

 中国人民解放軍の艦艇4隻が3月18日、宮古島の南東約80キロを東へ進み、その6日後には艦艇1隻が長崎・下対馬の南西約150キロを北東へ進んだ。また、4月10日には人民解放軍の「空母」を含む6隻が、長崎・男女群島の南西約400キロを南東へ航行していたのだ。

 また、ロシアも同様に3月26日、ロシア軍の艦艇18隻が宗谷岬の北西約95キロを東へ進み、2隻が下対馬の南西約200キロを北進した。4月3日には、艦艇2隻が対馬の北東約100キロを南西に進んだ。

 2019年7月、中国とロシアは、東シナ海と竹島にも近い日本海の上空で合同パトロールを実施したが、両国とも米国と日本を安全保障的にけん制する意図があったことは間違いない。

アメリカ大統領選で安全保障の重要性が低下

ドナルド・トランプ

ドナルド・トランプ photo by Lightpainter

 一方、アメリカのトランプ政権は世界一の感染者・死者数にのぼる新型コロナウイルスの対処に専念しており、とても安全保障上の問題に本格的に取り組める状況ではない。

 この問題は2020年11月3日に行なわれる予定のアメリカ大統領選で、トランプ陣営勝利に直結する問題となっており、争点としての安全保障の重要性は相対的にも低下している。よってトランプ大統領は国内の問題に対応しつつ、選挙戦を進めることになり、日本周辺の安全保障への関与が手薄になる恐れがあるのだ。

 そして、中国をけん制するため最前線で仕事に従事する米軍兵の中でも感染が増加し、日常の業務運用にも影響が出てきているという。米空母セオドア・ルーズベルトでも感染が確認され、4月1日には乗組員3000人あまりが下船を余儀なくされた。

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