新型コロナで売上が減った業界、増えた業界。明暗を分けたのは…
訪日外国人客むけ売上拡大施策が裏目
ドラッグストア業界と比較し、大きな影響を受けたのは百貨店業界です。既存店売上前年同月比(2020年2月)は近鉄百貨店▲10.9%、高島屋▲12.2%、大丸松坂屋▲21.5%と大きく売上を減少させています。
この背景には、外国人向けの売り上げに頼っていたという点があります。例として、大丸心斎橋店の2018年の売上構成比を見てみましょう。売上高の約4割を免税売上(≒訪日外国人向け)が占めていたことがわかります。
1月末から中国人の団体旅行が中止され、新型コロナウイルスの影響で世界各国からの旅行者による訪日が見直される中で、影響が直撃したのがこの免税売上なのです。
業績の大幅下落に見舞われる百貨店
各社が発表している3月前半の業績速報値を見てみましょう。高島屋、大丸松坂屋ともに前年同期比で、▲30%超となっています。そして主に訪日外国人向けの販売である「インバウンド(免税売上)」は、前年同期比▲90%超と発表されています。
すなわち、大丸松坂屋に至っては、もともと売上の約3割超を占めていた免税売上がほぼゼロになったと読み取ることができます。
訪日外国人客がおらず、日本人も外出を自粛する環境の中で、生活必需品以外の商品を多く揃える百貨店産業は極めて難しい局面に立たされているといわざるを得ません。
今後大幅な売り上げ減が続く中で、百貨店業界は更なる財務基盤の強化に向け、難しい経営のかじ取りを迫られることになると考えられます。
※記事に関連するいかなる損失(株式売買などにより生じる損失を含む)について筆者は一切責任を負いません。
<TEXT/小森ほうめい>
12