非FIFA加盟国による“もう1つのW杯”を現地ルポ
前回の記事で2016年に未承認国家のアブハジアで行われたCONIFAサッカーフットボールカップを紹介しました。
CONIFA(独立サッカー連盟)とは、民族的マイノリティや未承認国家など、さまざまな理由でFIFAに加盟できないチームのことで、2018年の大会が5月31日~6月9日で行われています。
今大会の会場はイギリスのロンドン近郊のサッカークラブのスタジアムを使用しています。
イギリスはイングランドとして、FIFAのワールドカップには参加しているのですが、イギリスに住むソマリ人代表はCONFIAサッカーフットボールカップに参加しています。
こちらの模様を観戦してきました。
前回王者アブハジアvsカルパタリャ戦を観戦
今年のCONIFAフットボールカップは、出場16チームが4チームずつ4ブロックに分かれて予選リーグ3試合を行い、上位2チームが決勝トーナメントに出場します。
FIFAワールドカップと大きく異なる点は、予選リーグで敗退しても、敗退したチーム同士で試合(9~16位決定戦)があります。単なる勝敗ではなく、出場すること自体に意義があるという側面が反映されています。
私が観戦したのは6月2日の試合で、ロンドン郊外のEnfield town FCというクラブのホームスタジアムが舞台となり、アブハジアvsカルパタリャ戦でした。
アブハジアはジョージアの一部を占める未承認国家で、前回大会の開催国で優勝国です。一方、カルパタリャはウクライナ西部に住むハンガリー人の代表です。
余談ですが、ハンガリーは中近世にかけて広大な領土を持っており、その影響でウクライナ、ルーマニアなど各地にハンガリー人のコミュニティが存在します。
また、今回の試合会場となったスタジアムのホーム・Enfield town FCは小さなクラブで、イングランドのトップリーグと比べると7部か8部相当、日本で言うと都道府県リーグのクラブです。
ホームスタジアムも椅子席が僅かにあるだけで基本的に立ち見になり、そのわずかな椅子席にはスポンサーやシーズンシート保有者の名前が貼られていたままだったりします。ですが、小さなクラブにもしっかりスポンサーがつき、シーズンシートも売れているという感じが逆に地元に愛されているクラブであると感じられるのです。
スタジアムは地元に愛され、飲食施設も充実
スタンド2階にはカフェがあり、ビールや軽食がオーダーできます。
カフェの生ビールはクラフトビールを含めて5種類あり、1杯400英ポンド=約600円と日本と比べても高くありません。現地の飲み比べがスタジアムで楽しめる形です。
こういった店が運営されている様を見ると、下部リーグながら地元に愛されているクラブということが容易に想像できます。
またTシャツなどグッズ販売や、わずかですがキッチンカーによる出店もありました。グッズ販売で面白かったのは出場16チームから好きなチームのエンブレムをシャツに付けるサービス。観客が行列を作っていました。