韓国『パラサイト』だけじゃない。“悲惨な格差社会”を描いた注目の4作
『21世紀の資本』(フランス/ニュージーランド)
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本ビジュアル解禁
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ピケティを中心に300年の歴史を解説する上で欠かせないトランプ、レーガンなど米大統領、サッチャー、ヒトラーや、資本の歴史を学べる映画として登場する『ウォール街』『プライドと偏見』『レ・ミゼラブル』『ザ・シンプソンズ』などの写真を含む鮮やかなポスターです pic.twitter.com/d6qB3qC6yf— 映画『21世紀の資本』3月20日(金)新宿シネマカリテ他全国順次公開! (@21shihonn) 2020年2月21日
世界的なベストセラーとなり、日本でもブームとなった、フランスの経済学者トマ・ピケティの経済書を映画化したドキュメンタリー。3月20日から公開される。
格差が増大し続ける資本主義社会の未来を示し、警鐘を鳴らす内容だ。このまま世界の経済が推移すると、18世紀ヨーロッパのような、一握りの貴族と、奴隷労働に等しい平民によって構成される、極端な格差社会に陥ってしまうという。社会は前進しているのでなく、後退しているのだろうか。
ピケティのブームが継続していた2015年、来日したピケティは、記者の前で「アベノミクス」や「消費増税」について、基本的に懐疑的な見方を示していた。その後めっきりと、日本のメディアはピケティに注目しなくなってしまったが、実質賃金が上がらず、増税で消費が減退しているいまなら、ピケティの主張にもっと耳を傾けておくべきだったと考える人は少なくないだろう。
アメリカの経済学者ロバート・ライシュの講義を映画化した、『みんなのための資本論』でも、資本主義に対する同様の指摘が見られる。
ライシュによると、経済活性化の鍵は内需の拡大にあるが、大富豪は資産を持っていても、それを使い切ることは難しいという。そして、実際にお金をまわすのは、じつは中間層であると主張する。
にもかかわらず、政府は大企業優遇の経済政策によって、中間層の生活を壊し、経済を負のサイクルに乗せてしまったというのが、80年代以降から現在に至る状況なのだという。この指摘は、いまの日本の経済政策にも当てはまりそうだ。
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格差や貧困を扱った映画が世界で注目を浴びる背景には、観客が日々、その問題を実感しているからだ。今回紹介した、世界の“格差映画”は、国や文化の違いはあれど、問題の根っこは同じところにあるように思える。そして、これらの映画で扱われた問題は、私たちの社会と無関係なものではないはず。
果たして、自分の生きる社会は正常に機能しているのか?それを知るために、世界の“格差映画”を観ることが、助けになってくれるのではないだろうか。
<TEXT/小野寺系>