ニトリ、業績絶好調でも中国で苦戦。アパレル進出の勝算は…?
ベッド・カーテンなどの大きなものから、食器・入浴グッズなどの小さなものまでをお手頃な価格で一通りそろえられる日本の家具販売最大手 「ニトリ(ニトリHD)」。入学・就職などで新生活を始める時にお世話になった人も多いでしょう。
本連載は、身近な企業を題材にして、企業の状況の調べ方・見極め方を解説していきます。
ニトリは1967年に札幌市で「似鳥家具店」として創業しました。この間、北海道を拠点に成長を続け、1993年には本州進出をしています。その後、2002年に東証一部上場を果たし、2010年に持株会社体制に移行しました。
32期連続増収増益を達成したニトリHDは、国内外に595店舗を擁する巨大企業グループとなっています(2020年2月16日時点)。この成長の秘密を業績面からみていきましょう。
業績面:大きな問題なし。海外進出にも積極的
まず、ニトリHDの決算短信・有価証券報告書ではセグメント別の売上の記載がありません。そのため、ホールディングス全体の売上は、家具・インテリア用品の販売によるものと見なしてよい状況です。
それでは、どの販売チャネル(販売方法)からの売上が主力なのでしょうか? こちらについて、決算説明会資料で提示されている数値からグラフを作り、確認しました。
通信販売や法人営業・リフォームなど、派生事業による売上のインパクトはほとんどなく、「店舗からの売上」が引き続き主力であるようです。
関東圏での積極的な出店が利益を牽引
続いて、店舗の地域別出店状況を確認します。こちらも決算説明会資料の数値より集計しています。
この結果、2014年度から2019年度の店舗数の伸びは下記のようになりました。
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関東:87→161店舗(+74店舗)
その他日本(関東以外):225→344店舗(+119店舗)
台湾:17→31店舗(+14店舗)
米国:2→3店舗(+1店舗)
中国:0→37店舗(+37店舗)
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先述した店舗数のグラフも併せて確認すると、関東圏での積極的な出店によって、連続増収増益を達成していると考えられます。
ただし、出店数の「伸び率」で考えると、海外、特に中国での積極的な出店にも注目する必要があるでしょう。続いて、中国進出についての詳細を整理していきます。