bizSPA!

新型肺炎で高まる経済リスク。中国企業「ドミノ倒産」も…

ビジネス

具体例1:会食実施制限から生じるドミノ倒産

 冒頭で述べた通り、現在中国の一部の大都市では複数の人間が集まって会食を行うことが制限されています。この結果、飲食店が倒産し、中小規模の食品メーカー、輸入業者、銀行へ倒産リスクが広がる可能性があります。以下に流れで示します。

=====
■ 会食の実施制限による、外食利用客の激減。飲食店の営業停止。

■ 飲食店の食品材料仕入れの停止。飲食店収入の激減による仕入れ材料の食品卸業者に対する未払いや、不動産会社への家賃未払い増加。飲食店の倒産発生。

■ 食品卸業者や輸入業者における在庫の腐敗に起因した食品業者や輸入業者の損失が発生し、収入減。これに伴う倒産発生。これに伴う企業の倉庫賃料の未払い発生。

■ 飲食店家賃未払いや倉庫賃料未払いによる不動産会社の経営状況悪化。

■ 不動産会社が経営状況悪化し倒産発生。これに伴う銀行への借り入れ返済遅延発生。

■ 銀行の経営状況悪化、倒産発生。
=====

具体例2:製造工場の停止から生じるリスク

工場

 企業活動が自粛されている現状において、中国国内の製造ラインは停止しています。もともと1月の最終週は春節期間であり長期休暇中であったこともあり、現時点では生産停止影響は1~2週間程度ですが、これが長引けば多大な影響を世界各国に与えることになるでしょう。

 通常、企業が保有する在庫部品は1~2か月分程度であることが多いため、それより長く工場が生産停止することは、全世界の製造業全体に甚大な影響を与えると見込まれます。

 以下では、このような製造製品の供給リスクのほかに、「労働者個人」に関して考えられるリスクを記載します。

=====
■ 企業活動の自粛に伴う工場稼働停止

■ 工場労働者への賃料支払の停止

■ 工場労働者の困窮や破産の増加

■ 工場労働者で成立している中小規模の市区町村の個人経営飲食店や小規模金融の倒倒産増加
=====

 特に工場労働者は、大都市に居住する一般会社員とは異なり、貯蓄を持たない生活をしています。そのため、工場の稼働停止が、直ちに個人の困窮拡大へと直結します。結果として工場労働者に支えられている、中小規模の市区町村の経済は急速に悪化することでしょう。

おすすめ記事