ブラック企業だという自覚はない

「最近なんでもパワハラって言いますけど、まあ『ちょっとした悪ふざけなのかな』と僕は許せましたよ。ただ、翌年、自分が水をかける側になるのは気が引けたので、ポイントの高いリレーは久しぶりの全力疾走でした（笑）。

　いわゆるブラック企業って、休めないとか給与未払いとかでしょう？ たしかに有給は、なかなか消化できないでいる上司や先輩たちを差し置いてまで……と思ってしまって、取りづらくはあるかなぁ。

　でも、うちは働いたら働いた分しっかり残業代も出るし、福利厚生は手厚いほうだと思うし……。ブラック企業なんでしょ？ なんて言われてもいまいちピンときませんよ」

　明確な労働法規違反は別として、会社の「気質」やノリは人によって感じ方が違います。だからこそ、ブラック企業問題は一筋縄ではいかないのかもしれません。

― 特集・令和の「ブラック企業」事件簿 ―

＜取材・文／小西 麗＞