葵わかな「将来は芸能の仕事をしていないと思っていた」
ロンドンの街の片隅でごみ捨て場に捨てられた白猫のヴィクトリアが、そこで誇り高く生きる猫たちと出会い、自分自身を見つめていく、大ヒットミュージカルの実写映画化作『キャッツ』が公開中です。
監督は『英国王のスピーチ』でアカデミー賞監督賞に輝いたトム・フーパ―(『レ・ミゼラブル』『リリーのすべて』)。製作総指揮にミュージカル界の巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーらが名を連ね、ロイド=ウェバーが、出演者でもあるテイラー・スウィフトと新曲「ビューティフル・ゴースト」を書き下ろしていることも話題の作品です。
本作の日本語吹き替え版で主人公のヴィクトリアに抜擢されたのは、葵わかなさん。21歳にして芸歴10年を超える葵さんに、本作について、またご自身の仕事への思いを聞きました。
初の吹き替えで感じたこと
――主人公のヴィクトリア役に決まったときは率直にいかがでしたか?
葵わかな(以下、葵):良かったぁ、と(笑)。もちろん、素直に嬉しかったです。
――事前に本国へ向けたテストを受けたそうですね。
葵:ヴィクトリアのソロ曲「ビューティフル・ゴースト」を歌いました。歌自体や音程はあまり難しくはないんですが、セリフのような歌なので、ヴィクトリアの心情をどう乗せていくかが難しかったです。歌に限らず、セリフも含めて、自分が普段しゃべるときの2~3倍の感情を入れて表現して欲しいと(日本語版)演出の方にアドバイスしていただきました。
「普通の芝居とは違うんだ」と思った
――初の吹き替えとのこと。実際の収録では、どんなところが大変でしたか?
葵:自分の好きなように感情を入れられないことです。ヴィクトリアではなく、フランチェスカ・ヘイワードさんの演じるヴィクトリアにならないといけない。ご本人に「どういう気持ちで演じましたか?」と聞けるわけでもないので、演出の方と、本編を見て、想像しながらやっていく必要がありました。
――吹き替え版ならではのアプローチですね。
葵:普通のお芝居では正解がないですが、吹き替えの場合は目の前にひとつ提示された絶対に裏切ってはいけないものがあるので、そこに寄りつつも、役としてイキイキしたものにしなければならない。普通のお芝居とは、違うんだなと思いました。