橋下徹氏に聞く「マルチタスク」のコツ。先送りにする仕事の決め方
「時間がない僕」がした選択は?
そこで僕は、迷わずホテルのフィットネスに行くことを選びました。毎日のルーティーンを後回しにしてまで、フィットネスに行ったのは、新聞+ネットチェックは大阪に帰る新幹線の車中でもできるけれど、今この夕方の2時間を逃すと、大阪に帰ってからでは今日はフィットネスに行けなくなるからです。
すぐ後に時事問題に関する取材が控えているわけでも、報道番組に出演するわけでもない。であれば、新聞+ネットは「今、ホテル」でチェックする必要はない。「後で新幹線」の中でチェックすれば十分です。
しかし東京での仕事を終えて大阪に到着する頃にはフィットネスジムは閉まっているので、フィットネスには「今しか」行けない。だから、「今すぐにできる」ルーティーンよりも「今しかできない」ことを優先させたわけです。
このように、「今すぐにできること」よりも、「今しかできないこと」を選択する。これがマルチタスクを回していく、優先順位の原則です。
どうしてもマルチタスクを回せない
いつも物事に追われていて、自分の時間を確保できないという人の多くは、単に物事の優先順位をうまくつけることができていないからではないかと思います。
優先順位をうまくつけるには、「ルーティーンに縛られない」ということも重要です。マルチタスクを回すことができない人は、「○○までにこれだけは絶対にやらなければならない」と勝手に決めて、その他のことが手につかなくなり、重要なことが後回しになる傾向が強いです。
まずは「○○までに、これだけはやる」という思い込みを捨てなければなりません。毎日のルーティーンがあったとしても、それを「いつするべきか」については、その時々の状況に応じて柔軟に考えるべきです。
どうしてもこれを終わらせなければ次に進めないという気持ちが沸き起こってきますが、そこは我慢です。最初のうちは何となく気持ち悪さを感じますが、ルーティーンの時間を後ろにずらすことを何度か経験すれば、すぐに慣れます。
ルーティーンを漫然と処理するのではなく、「今しかできないこと」「今やるべきこと」を優先してください。
<TEXT/橋下徹>