橋下徹氏「努力は必ず報われる、は幻想です」若手社会人が陥る罠
努力しているつもりなのに、なかなか評価されない……。それはあなたが、努力の本来の目的を見失ってしまっているからかもしれません。
ビジネスパーソンにとって、自分の商品価値を高めるというのは、組織に属する働き方を選ぶにしても、属さない働き方を選ぶにしても、成功するためには欠かせないことです。
今回は、「現代における努力の仕方」について新刊『異端のすすめ』(SB新書)の著者であり、元大阪府知事・大阪市長である橋下徹氏に解説してもらいます(以下、橋下氏の寄稿)。
努力そのものを目的化してはいけない
商品価値を高めるにはウリを明確に打ち出すこと。そして、そのためには圧倒的な量をこなす努力が必要です。
しかし努力そのものが自己目的化してしまうと、ウリを明確に打ち出し、自分の商品価値を高めるという本来の目的から外れていってしまう。これには注意が必要です。
努力するというプロセスも重要ですが、あくまでも一番の目的は自分の商品価値を高めること。すべての努力は、そこに向かうものでなくては意味がありません。
たとえば名刺交換などは、わかりやすい例でしょう。
学生や若手のビジネスパーソンで、しきりに「この間誰々と名刺交換した」と言いたがる人をよく見かけます。
「名刺コレクター」にならないために
しかし、その「誰々」と名刺交換したことが自分の商品価値を高めることに活かされなければ、単なる「名刺コレクター」にすぎなくなってしまう。後から自分の名刺を見た相手が、自分の顔や言葉を思い出すくらいでなくては、名刺交換をした意味がないのです。
僕も、社会に出たばかりの頃には膨大な数の名刺を配りましたが、そこで圧倒的な量をこなしたのは、とにかく「スピードがウリの弁護士」である自分という存在を知ってもらい記憶にとどめてもらって、仕事につなげるためでした。
大量の名刺交換そのものが目的ではなかった。あくまでも自分のウリを記憶にとどめてもらう手段でした。