パーク24、駐車場だけじゃない意外なビジネス戦略
車やカーシェアリングになじみがなくても、「近所や職場近くの空き地が、突然黄色と黒の看板の駐車場になった」という経験をした人は多いでしょう。今回は駐車場事業とモビリティ事業を全国展開しているパーク24株式会社を取り上げます。
実はパーク24は国内のみならず海外進出も積極的に行い、土地資産を活かしてスパ(温浴施設)や保育園といった他業種への種まきも欠かさない、隠れた優良企業です。この姿を公開情報からSNSアカウント「ブラック企業アラート」が解き明かしていきます。
海外展開は「失敗」だったのか?
まず、パーク24の海外展開について概観します。直近は日経新聞が2019年8月29日に「海外事業が不振」と指摘したり 、投資家が「利益確定局面」と書いたりするなど、海外進出の状況が思わしくないと評価されているようですが、それは本当でしょうか?
直近の決算のみ見るとそう感じられるかもしれませんが、長期スパンで見るとまた違った姿が見えてきます。今回は長期スパンで推移を確認していきます。
本企業の海外進出のきっかけは、2006年に韓国・台湾に進出したことです。そのため、2006年-2019年の決算短信の「報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、その他の項目の金額に関する情報」の項目データをもとに、セグメント別の売上額・利益額における年度ごとの推移をグラフ化してみました。
「国内駐車場」事業は順当に成長
まず、セグメント別の売上額を確認しましょう。
実は、2017年度にセキュア・パーキング、英ナショナル・カー・パークス(以下、NPC)という2件の大規模海外M&Aを行う以前は、海外事業は独立した報告セグメントに入っておらず、「駐車場事業(表中では『駐車場事業国内』)」セグメントに含められていました。
2006~2016年の10年間の「国内駐車場」事業の売上額は順当に増えていることから、近隣国の韓国・台湾で小さく海外事業を展開し、満を持して2017年度に大規模なM&Aを実行、海外展開を加速させたのです。