なぜ33歳公認会計士が老舗出版社の社長になったのか?[KKベストセラーズ元社長・初告白]
日本マクドナルド創業者、著作復刊プロジェクト
――2019年4月の日本マクドナルド創業者の藤田田さんの著作復刊プロジェクトも、塚原さんの仕掛けですか?
塚原:そうです。ただ、これにはちょっと事情があります。買収騒動によってKKベストセラーズは出版業界でものすごく悪評が広まってしまいました。いろんな媒体で「潰れる」とか書かれて(苦笑)。実際、返本もかなりありました。
――会社が潰れる前に返本しておかないと、書店がおカネを回収できないかもしれないからですね。
塚原:それだけ業界内の不信感が高まっていたんです。それに社内もバラバラだったので、対外的にも、対内的にも、「我々はしっかりと事業を続けていきます」というメッセージを発信する必要がありました。そこで社員が一丸となって取り組むことができ、業界内にも本気度が伝わるプロジェクトを、ということで、ずっと絶版になっていた藤田田さんの著作を連続で復刊することにしたんです。
面白い本を出すため、出版社を面白く
――会社をまとめる象徴として名著を活用したと。しかし、ベストセラーになった『ユダヤの商法』だけでなく、著作6冊全部を復刊というのは、かなり思い切った一手でした。
塚原:単純にそのほうが面白いじゃないですか。面白い本を出すには、やっぱり出版社自身が面白いことをやらないと。
――確かに6冊出したことで話題になりました。もともとは公認会計士なのに、そういうアイデアはどこから?
塚原:ずっとTwitterをやっていて、そのノリかもしれないですね。「この人、面白い」と思ったら気軽に声をかけちゃうんで。全宅ツイさんもえらいてんちょうさんも、私が先に話を通してから現場の編集者につないだんですよ。
――社長が自分で「うちで本を出しませんか?」と声をかけたんですか?
塚原:しかもTwitterで(笑)。もともと素人だからこそ、出版事業とはこうあるべきだってこだわりがないんです。