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なぜ33歳公認会計士が老舗出版社の社長になったのか?[KKベストセラーズ元社長・初告白]

ビジネス

赤字の常態化で「攻めの姿勢が失われた」

塚原:そして、「本業を立て直して経営再建を目指しましょう。そのためにも社内政治ではなく、編集者の本業である面白い本を作ることにリソースを注いでください」という話をしました。その会議が2018年の9月で、そこから社内の空気はかなり変わりました。

――社長自ら事業にコミットすると宣言したことで、懐疑的だった社員がついて来るようになったわけですか。

塚原:私が会社に骨を埋める覚悟を見せないと、何もまとまらないですから。そこから私自身もいろんな企画を提案していきました。まず考えたのは、会社の方針の見直しです。もともとKKベストセラーズは、世の中のキワモノを率先して扱う出版社でした。

――個人的にはアダルト雑誌の『ザ・ベストMAGAZINE』シリーズ(現在は廃刊)のイメージが強いです。

塚原:あれに代表されるように、KKベストセラーズじゃないとやらない人やジャンルの本を出していかないといけないと思いました。売れ筋は大手がどんどんやってしまいますから、うちの規模では太刀打ちできない。でも、赤字が常態化していた中で、「売れるかどうかわからないけど、やってみよう!」という攻めの姿勢が社内から失われていました。だからまず、キワモノを攻める会社のフィロソフィーを取り戻すこと。それを出版事業の中心に据えたんです。

えらいてんちょう、全宅ツイ…話題の人を発掘

全宅ツイ

全宅ツイの著書『クソ物件オブザイヤー』(KKベストセラーズ)

塚原:ただ、昔のノリをそのままやっても時代には合わない。だったらTwitterやYouTubeといった今どきのメディアで悪ノリしていて、話題になっている人を発掘しようと。もし彼らがブレイクしたら、私たちも一緒に伸びていくことができると考えたんです。全宅ツイさんも、そういう方針の中で声をかけさせていただきました。

――しかし、そこからなぜ6冊同時刊行をすることに?

塚原:YouTuberで起業家の「えらいてんちょう」さんの本を出したとき(2019年7月に「しょぼい自己啓発シリーズ」と銘打たれた3冊を同時刊行)も同じ理由だったのですが、ネットでバズった人って、「知っている人は知っているけど、知らない人はまったく知らない」状態なんです。だから普通に本を出しただけでは注目が集まりづらい。

 でも、一気に何冊も出せば書店でもコーナーが出来て目を引くじゃないですか。全宅ツイさんでいえば、6冊も出すことによって、「不動産エンタメ」みたいな新ジャンルを打ち出し、書店の不動産コーナーをジャックしようとしたんです。

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