ふるさと納税の「人気特産物」に変化が…。自治体職員が語った、現状と課題
配送料が高くなる自治体は不公平に
しかし、ふるさと納税を行う人が多いとされる東京、大阪、名古屋の三大都市圏から離れた自治体は、概して送料が高くなり、お礼品の調達を含む経費を圧迫してしまう状況下にある。
また、お礼品が地場産品に限られたことで、自治体によってはそもそも地場産品の発掘が困難なところもあり、地域によって不公平さが生じているとの意見もある。北海道八雲町の政策推進課企画係主事を務める冨樫佑允氏は、配送料について次のように話した。
「北海道や九州などの自治体は、どうしても地理的な関係で、配送料が高くなるといった不公平な側面がある。現在、配送費の削減を実現するために、個別配送からまとめて首都圏地域への配送ができる『さとふるおまとめ便』の実証実験を行い、効果が確認できたので、今後導入し、費用の削減に努めたい」
また、法改正により登録制から認定制に変わったことで、ふるさと納税の対象外となった自治体もある。佐賀県みやき町もそのひとつだ。
みやき町町長の末安伸之氏は「ふるさと納税の対象外となったことは受け入れるほかない。むしろ、明確な基準が決まったので好機と捉え、今年度は各自治体の取り組みを見ながら、来年度に再び指定されるように努めていきたい」と語った。
佐賀県みやき町は、皮まで食べられる国産有機無農薬の「神バナナ」や国内初の「バナナビール」など来年の指定に向けて地域の事業者とともに特産品の発掘に尽力しているという。
体験型のお礼品が需要高に
前述のアンケート調査によれば、ふるさと納税の寄付額は、「前年比の4月~9月期と比べて増加した」と答える自治体が6割に上った。
2018年度のふるさと納税による寄付総額は5127億円と、6年連続で最多を更新していることからも、市場規模は拡大していることが見て取れる。
和歌山有田市は2018年度に比べ、今年は4倍以上の11億円の寄付額が集まったという。
この結果に、同市経済建設部の理事である成田裕幸氏は「2008年のふるさと納税導入以来、寄付者に満足いただけるようなお礼品を提供し、有田市の魅力が伝わるよう努力してきた。最近は、寄付者も質の高いものを求めるようになってきているので、特産品である有田みかんの調達や品質管理をしっかりと行うようにしている」と話した。