DMM亀山敬司会長「世の中、どの事業が当たるか分からない」独自の起業家精神
1998年の創業以来、領域問わず様々な事業を展開してきた合同会社DMM.com(以下DMM)。動画配信や通販サービスから始まり、FX、オンラインゲーム、英会話、仮想通貨取引所、プログラミング教育など、その事業数は挙げればきりがないほどだ。
2019年時点では40以上の事業を手がけ、グループ連結での売上は2000億円以上、サイト「DMM」会員数は3000万人以上にのぼる。去る11月28日には、秋葉原で運営する「DMM.make AKIBA」の5周年を機に、これからの展望について語るイベントが開催された。
今や日本を代表するIT企業へと成長したDMMだが、今後はどのような舵取りをして事業を推進していくのか。
誰でも挑戦できる環境を創る
まずはDMM執行役員 経営企画室長/ビジネスプランニング本部長の市村昭宏氏が登壇し、今後の事業の展望について説明した。
「DMMは、グループ全体で4000人規模の組織へと成長した。今までは、とりあえず何でもありという考えのもと事業展開をしてきたが、今後は7月に策定したコーポレートメッセージを指針として経営をしていく。テクノロジーで既存の産業をアップデートしていき、誰でも失敗を恐れずに挑戦できる企業風土を作っていきたい」
DMMはありとあらゆる事業領域を手がけ、サービスを展開。言うなれば、全てが揃う街のような経済圏を作り上げてきた。
「DMM.make AKIBA(以下AKIBA)は、ハードウェア開発を行う企業を中心としたスタートアップなどが集い、次世代を担うモノづくり企業の支援をしている。また、若手起業家へのマイノリティ投資(株式の過半数を超えない投資)を行うDMM VENTURESや、未経験からエンジニアになるための教育を行うDMM WEBCAMP、学費完全無料のエンジニア養成教育が受けられる42 Tokyo(フォーティーツートウキョウ)など、誰もが挑戦できる環境を作っている。これからの世の中を創っていくスタートアップ企業や事業家、エンジニアなど、時代に求められる人材の教育から支援まで行っていきたい」
今後は、イノベーションを起こすための機会をさらに創出することで、同社の飛躍に繋げたいという。
「DMM.make AKIBA」の立ち位置
秋葉原といえば、国内有数の電子街であるとともにポップ(オタク)カルチャーの聖地として知られている。そんな秋葉原にDMMがモノづくりに特化したコワーキングスペースを立ち上げたのは2014年。
ハードウェア開発支援では国内最大級を誇る拠点であり、これまでIoT家電を販売する「Cerevo」やスマートフットウェアの「Orphe」など、AKIBAから様々なIoTプロダクトが誕生した。AKIBA事業部 事業部長である大沼慶祐氏は、次のように抱負を述べた。
「ハードウェアの開発支援はもとより、大企業とスタートアップとのマッチングのために、ハッカソンや交流会などのイベントも定期的に行っている。今後はこのコミュニティ醸成に力を入れながら、独自に培ってきたノウハウをもとに地方自治体との連携を通して、モノづくりから地方創生を推進していく。また、エリアパートナーとして国内外の都市や団体と提携することで、IoTプロダクトを開発する企業誘致に繋げたい」