英語民間試験で批判が殺到したベネッセ。企業体質に不安も
2)社長のキャラ:生え抜きのサラリーマン社長
引き続いて、社長のキャラクターも確認します。ベネッセの現職社長は小林 仁さんです。一言でいうと「生え抜き社長」と言えるでしょう。
生え抜きの社長の場合、悪評が立ちにくい人が選ばれる……という通例にもれず、目立ったニュースは特にありませんでした。
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1985年 4月 当社入社
2000年 4月 (株)ベネッセケア取締役
2002年 8月 (株)ベネッセエムシーエム代表取締役社長
2003年 12月 (株)ベネッセスタイルケア取締役
2007年 4月 (株)ベネッセスタイルケア代表取締役社長
2012年 6月 当社取締役
2014年 6月 当社常務取締役、グループ経営企画本部長、
(株)ベネッセコーポレーション代表取締役社長
10月 当社常務取締役、海外事業開発カンパニー長
2016年 5月 当社代表取締役副社長(現任)、海外事業カンパニー長、
(株)ベネッセコーポレーション代表取締役副社長
6月 当社ゼミカンパニー長、海外事業カンパニー長、
(株)ベネッセコーポレーション代表取締役社長(現任)
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なお、ベネッセHDは会長→最高顧問(創業家2代目・福武總一郎氏)と、ベネッセHD社長の関係が安定せず、2014~2016年の間、ベネッセHD社長が頻繁に交代した過去もあります。現在はベネッセも、ベネッセHDも社長は大きく交代せず、安定しているようです。
3)社風:男女関係なく活躍できるが、保守的との声も…
まず、各種口コミサイトを確認していきます。
ただし、各種口コミサイトは転職支援事業をビジネスにしており、各企業がクライアントにもなっている関係上、著しい悪評は公開されないようになっています。その制約を踏まえて、特徴を整理していきます。
<良い点>
・女性上司が多い=男女関係なく昇進できる
・OJTが手厚い
・帰宅後にPCが使えない設定になっている=持ち帰り仕事ができない
・仕事をしていれば、休みは取得しやすい
・社内の掃除が行き届いている
<気になる点>
・新規事業の開発スピードが遅い
・保守的な傾向がある
・部署によっては人の入れ替わりが激しい
・デジタルスキルが弱い人が多い
上記をまとめると、働きやすさや残業量に配慮されており、現場としては働きやすい会社であることが伺えます。平均年収も600万~700万円と高めの水準です。会社としても、健康経営に注力しており、2018年から各種施策を積極的に実施しています。
ただし、IT技術への理解が弱い傾向が伺えます。2014年に発生した顧客情報漏洩事故は、「グループ会社がシステム開発を別の企業に再委託したところ、その企業の社員が顧客情報を持ち出して売却した」という構図でした。
もしベネッセ社内にIT部門があり、IT技術への理解度が高い人間が在籍していたとすれば、「グループ企業内での別会社への再委託」のように回りくどい対応をせずに済み、モラルが低いスタッフを内部に入れることもなかったと考えられます。そのため、この事件は「IT技術の軽視」が遠因であるとも言えます。
なお、本件は2019年時点でもまだ完全な解決をみておらず、現在も裁判が継続中です。