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職場近くのコンビニATMに長蛇の列。26歳SEが体験した忘年会の謎

学び

ATMに長蛇の列ができていた理由は…

コンビニATM

 その状況を不思議に思っていると、ニコニコしながら社長がやってきました。

「参加費を徴収されるんじゃないかと思って、身構えていたんですが……」

 社長は胸ポケットから茶封筒を取り出すと、福田さんに差し出しました。受け取った封筒の中に入っていたのは、現金20万円。社員が集う機会が少ない福田さんの会社では、冬のボーナスは忘年会で手渡ししていたのです。ここに来てようやく異様なほどの参加率と、ATMに長蛇の列ができていたの理由が判明しました。

「ボーナスを持ったままお酒を飲むのが怖くて、みんな預けに行っていたんです」

 福田さんも右にならえでATMに預けに行くことにしました。そして会社に戻り、思わぬ収入に喜びつつ、忘年会を大いに楽しむことができました。

「他の現場にいる人の話も聞いて、今の現場が普通じゃないことも理解できたので、今後の仕事に希望が持てました」

先輩社員がうなだれていた理由

 福田さんにとって印象的な忘年会になりましたが、驚きの出来事はまだ続きます。会を終えて駅に向かうと、前の現場で一緒だった先輩がうなだれた様子でベンチに座っていました。

「話を聞いてみると、その先輩はATMに預けるのが面倒で、もらった封筒を鞄に入れたまま飲んでいたらしいんです。しかし駅に向かう途中でボーナスが入った封筒がなくなっていることに気づいたそうでした。先輩はボーナスを見込して家電を色々買っていたみたいで『ボーナスをなくしたなんて言ったら、嫁に殺される』とつぶやいていました」

 その落ち込み方は見ているのも辛くなるほど。一緒に電車に乗りましたが、いつもは快活で饒舌な先輩が一言も口を聞かなかったそうです。

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