稼ぐ人に共通する「話し方」のコツ。デメリットをどう伝えるか
相手が気づいていない「相手のメリット」を教える
稼ぐ人は、相手の「デメリット」を「メリット」として話すのが上手です。ではなぜ、そんなことができるのでしょうか? 明快です。
「デメリット」の見方を変えて、そこに「メリット」を見るからです。だから、自分にとっても、相手にとっても、プラスとなるひと言が言えるのです。僕がそれを痛感したのは、公認会計士試験に合格した直後のことでした。「デメリット」の見方を変えて、そこに「メリット」を見る先輩がいたのです。
トーマツに入社が決まっていた僕は、エクセルのスキルを上げておいたほうがいいだろうと、参考書を探していました。そのとき、W先輩が、勧めてくれたのがMOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)という「Microsoft Office」の国際資格でした。確かにワードやエクセル、パワーポイントといった、パソコンの上級スキルを身につけることは大切なことです。
ただ公認会計士として、エクセル以外は、補助的なスキルであると僕は考えていました。MOSの勉強に多くの時間を費やすのは、まさに時間とお金のムダ。僕にとっては「デメリット」以外、何ものでもないと感じていたのです。W先輩はそんな僕の心を見透かしていました。
「今、MOSの勉強に時間を費やすことは、しんどいのはわかる。ただ、金川の将来を考えると意外なメリットが3つも見えてくる」
「信頼の差」は「ひと言の差」
そして、こう話してくれました。1つ目は、パソコンのスキルアップは、仕事のスピードが早くなり、残業が少なくなること。それは高評価となり、出世や高収入につながること。
2つ目は、パソコンのスキルは一度身につければ一生使える能力になること。将来、どのような仕事についても揺るがないスキルであること。
そして3つ目は、チーム力が上がるということ。会計の仕事にかかわらず仕事はチームでやるもの。だから、自分1人がパソコンの絶対的なスキルを持っていれば、チームを救うだけでなく、グイグイ引っ張っていけること。最後にW先輩は次の言葉で締めました。
「今のデメリットを乗り越えれば、将来のメリットになるんだ」
目からウロコのアドバイスでした。メリットさえ理解できれば、ポジティブな感情が生まれます。僕は、資格取得はしませんでしたが、自己流でオフィスのスキルを習得。MOSの一般レベルに相当するスキルは身につけました。
<TEXT/金川顕教>