ついに死者まで…香港デモはなぜ過激化するのか。現地記者に聞く
ライターが香港デモを見て感じたこと
西谷さんはデモの取材を通じて「香港人全員が“一国二制度の犠牲者”だと感じた」と話す。
「『香港は今後、上海や北京のような中国のイチ地方都市になっていくのでは』との悲観論もありますが、条例改正ひとつでこれだけ強烈な反対運動が起きることを考えると、もし50年後に中国大陸と“同化”するとしたら、相当な反対運動が起きるか、台湾などへ大量の移民が出るのではないでしょうか。
とはいえ、ニュースで伝えられる過激なシーンとは異なり、香港市民の大半は普段通りの平穏な暮らしを続けています」
実際、西谷さんが現地で取材した限り、レストランやホテルの店員、公園で散歩している人などは「よく分からない。早く収束してほしい」などと答える人がもっとも多かったそうだ。
事態の悪化を防ぐためにできること
「政府側も、デモ側も引くに引けない状況で、それぞれの“暴力行為“がエスカレートしているのが現状です。しかし一方では、暴力行為によって政府から一定の譲歩を引き出している面も事実としてあり、もはや今回のデモは善悪では語れないものがあります」
収束の気配が見えずに泥沼化する反政府デモ。しかし、事態の悪化を防ぐためにできることもある。
「日本人がデモのニュースに注目し、関心を持つだけでも、香港社会に対して良い影響を与えられると感じます。日本が香港のためにできることは少ないですが、『我々はあなたたちを見ている』という国際社会からのメッセージは、香港政府にもデモ側にも、プラスの意味があると思います」
<TEXT/モチヅキサトシ>
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