イオン「台風でも営業」は本当か。広報に聞く、生活インフラ企業の責任
指定を受けることによるメリット
イオンが指定公共機関となった契機は、2016年の熊本地震にさかのぼる。支援物資などの被災地への陸送が困難を極めたのだ。支援物資などを運ぶトラックが通行制限に遭い、渋滞や迂回などを余儀なくされるためだ。
それが指定公共機関として指定されると、トラックが「緊急通行車両」として登録ができ、規制区間の通行が可能になる。また「中央防災無線網」にアクセスすることができるため、リアルタイムな被災状況も確認できる。
こうした背景から、内閣府防災や経済産業省のヒアリングでの対応を通じて、イオングループ各社は2017年7月1日付けで、指定公共機関に指定された。「指定を受けることによって、災害発生時の支援物資の輸送・避難者の生活支援など、活動範囲が広がりました」(山崎さん)という。
台風19号、イオンが取った対策とは
最後に、今回の台風19号でのSNS上での批判の声について聞いてみたが、山崎さんは「大前提として今回の台風上陸時は営業をしておりません、指定公共機関の役割とも関係ございません」と話す。どうやら情報はデマだった模様。
店舗では、自家用車・タクシーでの対応など、各店の状況に応じて判断を行い、また公共交通機関の運行・気象状況などに応じ、ピーク前の帰宅ができるよう従業員とあらかじめ確認をとっているそうだ。
今回の台風19号でも、イオンでは早急に対策本部を立ち上げ、物流ルートの迅速な調整・変更を行ったという。また、埼玉県・越谷市のイオンレイクタウンを始め自治体協定を結んでいる店舗では、立体駐車場を開放していた。
台風上陸をきっかけに、存在感の高まる指定公共機関。災害時の生活インフラは、今や生活の身近に浸透しつつあるようだ。
<TEXT/モチヅキサトシ>
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