暗記した知識を忘れないには?東大クイズ王が実践する4つの方法
資格習得やキャリアアップ、社会人になっても勉強する機会は意外と多い。休憩中や帰宅後に勉強時間を確保している多忙な20代ビジネスマンのなかには、ついダラダラと机に向かっているという人も多いはず。
開成高校在学中に全国高等学校クイズ選手権で優勝し、現在は東大クイズ王としてバラエティ番組で活躍する東大医学部6年生の水上颯氏。
初の著書『東大No.1頭脳が教える 頭を鍛える5つの習慣』では、「才能」でも「素質」でもなく、「習慣」で頭は鍛えられると主張。そのなかから、今回は「覚えた知識を定着&確認させる方法」について紹介する(以下、水上氏寄稿)。
「暗記」と「筋トレ」の意外な関係
暗記に対して、「退屈でつまらない」というマイナスイメージを抱いている人も多いのではないでしょうか。僕は、暗記を「筋トレ」と同じようなものだと捉えています。毎日継続して行なうと効果が高いこと、地道な努力が必要なことなど、共通点が多いからです。
ただ、筋トレは鍛えること自体が目的化するくらいのめり込む人がいる一方で、暗記にそこまで熱意をもって臨んでいる人は少ない。だから、「なぜ、筋トレにそこまで熱中するのか」を明らかにし、それを応用していけば、暗記のモチベーションを上げる方法が見えてきます。
筋トレは地味ですが、やっただけ確実に筋肉がつきます。一方で、ちょっとさぼると、せっかくつけた筋肉もどんどん落ちていきます。どんなスポーツでも、トップアスリートほど地味な筋トレを欠かさずに行なっているのは、基礎的な体づくりの重要性を知っているからでしょう。
脳も筋肉と似ていて、思考をフルに働かせ続けるためには、絶えず基礎的な能力を磨いていかなければなりません。そして、それには、暗記によってベースとなる知識を増やしていく必要があります。言い方を変えれば、暗記は「思考体力を鍛えている」といえるでしょう。
論語に「学びて思わざれば則ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し」という一節があります。知識というのは発想の原点となるエンジンです。ただ知識だけを蓄えても、思考に生かさなければ意味がありません。逆に、知識がないのに思考だけ働かせようとしてもガス欠になってしまいます。豊富な知識が裏づけとなって新たな発想が生まれていくのです。
「暗記」するときのモチベーションの保ち方
しかし、鍛え上げられた筋肉と違って、暗記で増やした知識は目に見えません。これが筋トレと暗記の大きな違いでしょう。暗記は筋トレのように、鏡を見て「ずいぶん筋肉がついてきた」と実感することはできないので、モチベーションを保ちにくいのです。だから、暗記のモチベーションを上げるには、「これだけ新たな知識がついた」と具体的に確認してみるのがいいでしょう。
僕の場合は幸い、クイズ番組という確認の場があります。たとえば『東大王』で苦手だった昭和の芸能問題などが解けるようになったのは、「昭和」に対してアンテナを張っていたから。重大ニュースをチェックしたり、振り返り番組を見返したりといった「対策」のおかげです。
解けなかった問題が解けるようになっていることで、明らかに暗記によって知識が蓄積されたと判断できます。クイズの点数、早押しのスピードといった指標ではっきりと自分の成長を感じられるので、さらに知識をつけようと思えるようになります。