ヤクルト村上宗隆・19歳、“清原超え”の10代最多本塁打。その強みとは
現在の大物との比較も避けられない
清原はルーキーで打率も3割を残すなど、柔らかく左右に打ち分けるバッティング、チームへの貢献度やここ一番での勝負強さはやはり10代でも極めて高く、当時の野球界に大きなインパクトを残している。若くしてパリーグの、そして球界の「顔」として呼ばれるまでそう時間はかかることはなかった。
新たに10代での本塁打記録を塗り替え、さらに活躍を続ける村上も同じように、現代の若き大砲として更なる期待を背負う存在となっていくだろう。
また、今季ここまでチームは低迷しているものの、同じ打線を組む山田哲人やバレンティンという日本球界を代表するホームランバッターの存在も村上の成長を促すうえでもこれ以上ないお手本と言えるのではないだろうか。
過去、そして現在の大物との比較。避けては通れないファンの視線も受けながら、スラッガーとしてどれだけ伸びていくか楽しみだ。
数字以外でも期待されるのは「らしさ」
「チャンスだったので積極的に打ちに行きました。自分のスイングをすることができました」
今月4日のカープ戦、本塁打の前の打席でタイムリーを放った際の村上のコメントだ。
広島のエース、大瀬良大地のカットボールをはじき返し、逆転勝利への足掛かりを作った。0-3から打ちに行き、狙い通りのバッティングだったという言葉通り、今季のブレイクは自らのスタイルを貫いた結果であり、今なお「らしさ」をさらに構築している真っ只中かもしれない。
プロ野球の世界には優れた打者が残す記録の目安として「3割30本」という数字が頻繁に使われている。打率も残し、長打力も発揮するというユーティリティプレーヤーの証とも言える。
だが、ここまで規格外のホームランを量産している村上には、自分らしさを追い求め、数字にこだわらない姿勢をファンは求めているのではないだろうか。
リーグでダントツに多い三振数も魅力のひとつと捉えるファンも少なくない。常に積極的に振りに行くことこそストロングポイントであると同時に、大きな個性だ。
迷うことなくボールに向かっていきホームランを「かっ飛ばす」。現代には貴重なキャラクターであるといえるだろう。
<TEXT/佐藤文孝>