UberEats配達員に「過酷な労働環境」を聞く。組合結成の動きも
UberEats配達員で「組合結成の動き」も
様々な問題が取りざたされる中、6月12日には弁護士や労働組合関係者、一部配達員が集まり、UberEats労働組合結成に向けての準備会が開かれた。A氏はこの動きについてどう思っているのでしょうか。
「配達員たちは一枚岩のように語られがちですが、考え方、働き方は様々です。専業でやっている人にとって労働環境の改善は、喫緊の問題でしょうが、配達員の中には週に数時間程度しか働かない人もいるので、彼らに『労働組合を作りましょう』といってもにあまりメリットを感じられないかもしれません」
配達員を専業としている人たちの間でも、意見は分かれている。
「そもそも、煩わしいこともなく自由に働けるから配達員を始めた、という人も少なくありません。専業で働いている人の中にも、労働組合ができることによって、『イギリスやアメリカのように訴訟が頻発すれば、日本から撤退し、働く場がなくなるかもしれない』と、デメリットを懸念する声もある」
Uberは労働組合結成について「現時点ではコメントを差し控えさせていただきます」と回答するにとどまった。
「個人で話し合いをするには限界がある」
Aさんは「個人で働きかけることには限界がある」と言う。
「運営側の体制に問題があることは事実です。変なメールを送られたり、ひとつの企業に依存して働いているのに労災がつかないなどおかしなところは多い。でも、個人で運営側と話し合いをするには限界があります。何らかの形で配達員の組織を作っていく必要はあるでしょう。
しかも最近はウーバーを真似し、個人事業主を利用するところも増えてきた。補償もいらないし、責任は押し付けられる。こんないいビジネスモデルはありませんから。私個人としてはこの労働組合結成の動きが単に配達員だけでなく、個人事業主の働き方を考えるひとつの契機になればいいと思います」
<取材・文/小林たかし>