かんぽ生命の不正問題。販売していた日本郵便社員の嘆き
株式会社かんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)と、その保険販売を受託している日本郵便株式会社(以下、日本郵便)の両社が7月10日、数年間に渡って、契約者に不利益な保険契約を結ばせていたとして謝罪した。
最大9万3000件…不適切契約の実情
かんぽ生命の不適切契約問題が判明したのは6月24日。
乗り換え契約を調査したところ、「外形的にみて、乗り換えによる経済合理性が乏しい」と疑われる契約があることが発覚した。27日には、同種の不適切契約が2014~2019年で約2万4000件あったと発表。
また、不適切契約だけでなく、保険が一時的に新旧契約の二重払いとなっていた契約が約2万2000件にものぼることが明らかになり、一連の不祥事による保険の不適切な販売は最大9万3000件にのぼるという。
原因については、郵便局員への過剰なノルマが一連の不正につながったとみられ、かんぽ生命と日本郵便は本件を受けて、8月末までの保険商品の営業の自粛を発表。
不適切契約への対応として、かんぽ生命は植平光彦社長が本部長を務める「お客さま本位の募集態勢推進本部」を設置。全国約400名のスタッフで不利益を被った契約者への連絡、営業目標の改善などの取り組みをするとしている。この他にも第三者委員会の設置も検討されている。
かんぽ生命の平均年収は?
そもそも郵便、郵便貯金、簡易生命保険の郵政3事業は、2007年の郵政民営化まで国営の「郵政省」によって担われていた。民営化に伴い、郵政省は廃止され、新たに設置されたのが総務省だ。
かんぽ生命は、日本郵便、ゆうちょ銀行などとならぶ日本郵政グループの一社だ。日本郵政グループは、郵政民営化により2007年に発足。当初は日本郵政に上記の傘下3社に郵便事業株式会社も加えた5社体制だったが、2012年の改正により現行の4社体制となった。
日本郵政グループは、これまで郵政省が担っていた郵便・貯金・保険の3事業を、全国の郵便局ネットワークを通じて展開している。郵便局は、日本のすべての市町村にあり、 2017年度末時点で合計で2万4395か所に設置されている。
巨大で盤石なネットワークの元で働いている人の情報も気になるが、Yahoo!ファイナンスによると、日本郵政の従業員は単独で2106人、平均年齢は43.9歳、平均年収は781万円。かんぽ生命の従業員は7617人、平均年齢は39歳、平均年収は642万円と、日本郵政に比べて平均年齢は若く、そのぶん年収も少ない。