「大学中退して“男娼”になった」22歳、就活アウトローの本音
大学中退して“男娼”になった22歳の半生
また、他にも個性的な経歴を持っている参加者がいました。経済的な理由で大学を1年で中退したのは、佐藤悠人さん(仮名、22歳)。
彼は大学中退後、男性向けの「売り専(いわゆる男娼)」として働き、二十歳になる前にとあるお店で上位ランク入りするほどの人気を博したそうです。ゲイバー、ゲイビデオ編集など同性愛業界を転々とし、「先日、バーテンダーの仕事を辞めたところ」と言います。
「いろいろな経験をするうち、自分がレズビアンのトランスジェンダー女性(戸籍上は男性。性自認は女性で、女性が好き)だとわかりました。一見すると、周りからは普通に女性が好きな男性に見えるので何かと便利ですが。
現在は年上の彼女がいて、その人との結婚を考えています。これまで不安定な生活でしたが、今後は安定がほしいので正社員として就職するため今回、参加しました」
彼のように、内定を目指して来る参加者も当然大勢いました。しかし、就活アウトロー採用にたどり着いた経緯は様々です。
就活アウトロー採用のOBも参加。朝まで続いた
朝方まで行われた飲み会には就活アウトロー採用のOBも途中から参加、女子部屋からも何人か参加し、遅くまで和気藹々とした盛り上がりを見せました。
就職の愚痴、哲学的な話から、お互いの人生観について……普通の友だちとは話しづらいようなことも、似たもの同士のこのメンバーでは楽しく話せてしまいます。
途中、お酒が足りなくなり外のコンビニに買い出しに行く人も。佐藤さんは飲み会があることを見越してバーボンを持ち込んでいました。
結局、私も朝4時頃まで飲み明かしてしまい、潜入取材で来たとは思えないほど溶け込み、話し込んでしまいました。
合宿の最後に、司会進行役の人から「何か一言全員の前で言いたいことがある人は前に出て、しゃべってください」とアナウンスがありました。「カラオケが好きなので一緒に行ってくれる人を募集します」「僕は日本酒に詳しいので、日本酒の飲み会を開催したいです」と、多くの人が壇上で、交流を呼びかけていました。
帰り際には参加者同士で連絡先を交換し、「これからも友だちとして交流していこう」と約束して、今年の合宿は終わりました。
「はみ出しもの」たちが心から本音を語り合う
ここに参加しているのは、既存の就活や社会システムに何かしらの疑問を持っている「はみ出しもの」ばかりでした。それぞれが持っている個性はバラバラで、普段の生活では出会う機会もめったにないでしょう。
しかし、そんな彼らが周りの目を気にせず、心から本音を語り合って世界を広げられるのが、この合宿の最大の魅力だと感じました。
この後は、内定獲得のための企業とのセッションの前に、2度のワークショップを行います。合宿を経てお互いのことを知り、一体感の生まれた就活アウトロー採用組はこれからどのような盛り上がりを見せるのでしょうか。
本連載では引き続きワークショップの模様を報告する予定です。
⇒次回、<就活イベントで考える「幸福とはなにか」学生の本音は…>に続く。
― 特集・就活アウトロー採用2019 ―
<取材・文・撮影/茂木響平>