就活セクハラの温床「OB訪問マッチングアプリ」。女子学生が体験したキモい手口
セクハラ、ナンパ……荒れるOB訪問の現場
内村さんはこの一件以降、1か月以上にわたって凄まじいLINE攻勢を受けることになるとは、夢にも思わなかった。
「内容も『また飲みたいね』とか業界の人と飲んだ自慢話など就職活動と関係ないことが大半。たまに就活ネタっぽい話になっても、『エントリーシートを出したら、上の人に伝えることはできる』とか、『もし、ウチがダメでも紹介できるところ探すから』など、頼んでないことばかり。本当にしつこいんだけど、先輩の紹介ということもあって無視もできないし、適当にはぐらかしていました」
そんな内村さんの心中などお構いなしのOB男性は、ついに大阪出張にかこつけて、内村さんを酒席に呼び出したという。
「最悪でしたね。私が無愛想だったので腹が立ってたんでしょう。いきなり『本当に広告業界いく気あんの?』って強い口調でなじるんですよ。そのくせ、2人きりになるとすかさず私の肩に手を掛けて引き寄せて『お前には素質あると思ってんだよ。うまくいくように、オレもなんとかするから』って、アメとムチを使うんです」
結局、内村さんがこの場から泣いて逃げ出したことで、紹介した先輩も事の次第を把握。OB男性に直接「嫌がっているので、連絡はやめてほしい」と伝え、セクハラ騒動は収まったという。
昨今のOB訪問はマッチングアプリを用いる
また、4件のOB訪問をした都内の大学4年生、西田千恵さん(仮名)によれば、セクハラとまでは言えない飲みや合コンに誘われる話はさして珍しくないことだという。
「20代半ばくらいで年の近いOBの方だと、話を聞くうちに砕けてくるんですよね。そうなると、じゃあ今度飲もうみたいなノリに……。セクハラというか、ナンパに近い感じでしょうか」
友人たちとはOB訪問で会った男性をネタに、話が盛り上がることもしばしば。また、昨今は、マッチングアプリを用いて、訪問するOBを探すことが主流だという。
「マッチングアプリではナンパ目的で登録している男性もいるみたいですね。メッセンジャーのやり取りはすごくマジメだったのに、会ってみたらしつこく飲みに誘われたという話や、『ウチは私服面接だから、私服の写真送ってもらうか、私服姿が写ってるインスタとかあったら教えて』と言われた友達もいます」
大林組の事件でも注目を集めたOB訪問マッチングアプリは、今や就活生たちにとっては日常のツール。アプリ内では企業の公式アカウントにひもづいたOBやOGだけではなく、サポーターと呼ばれる社会人も登録している。どうやら、この中に不埒な輩が紛れ込んでいるようなのである。