5億円を資金調達した26歳ITベンチャー社長が大切にする「想いの伝え方」
3月27日、経済誌「Forbes」の「アジアを代表する30才未満の30人」(Forbes 30 Under 30 Asia)のエンタープライズ・テクノロジー部門に選出された、株式会社ZEALS(ジールス)の清水正大氏(26)。
明治大学在学中の2014年4月に株式会社ZEALSを設立。「チャットボット×広告」をコンセプトにしたネット広告サービス「会話広告 fanp」のヒットによって注目を集めました。
今年1月には、総額4.2億円もの資金調達を実施。累計調達金額は約5億円。今後の業務をどのように拡大していくのか注目されています。今回は創業から現在にいたった経緯や、今の20代への思いを聞いてみました。
仲間と日本をぶち上げるという意志だけで走り出した
――起業したのは在学中だそうですが、当時の様子を聞かせてください。
清水:実は創業当時は「うちはコレ!」という特定の事業がなかったんです。
起業前から「日本をぶち上げる」というビジョン、自分の中の想いのようなものが先にありましたね。それは大学に入っても昇華されず、強烈なフラストレーションと共に起業へ至りました。
そんな状態ですから、会社は作ったものの、具体的には「何をやろうかな」となってしまいました。とにかくいろんな仕事を受託していて、企業へインターンを紹介したり、商材の営業代行をしたり、イベント運営をしたりしていました。でも、どれも継続的な事業にはならず、一過性の収入でしかありませんでした。
当時はオフィスもなかったのでミーティングも大学のフリースペースやファミレスでやっていました。まだ大学生で、家庭や子育てといった責任もなかったので、なんとか続けていけたのでしょうね。
――現在のIT分野にはどのように移行していったのですか?
清水:とにかくいろんな仕事を受けていたところ、「アプリつくれる?」「ウェブつくれる?」といった声がかかったんです。幸い、僕たちには、そうしたスキルを身につける気概があったので、そこからやっと今に繋がる事業の柱ができました。
案件をこなすペースは月1、2件くらい、1件につき5万~10万円程度だったと思います。当時は「けっこう良い金額だな」と思っていましたが、実のところ、相場より安いのか高いのかさえわかりませんでした(笑)。
いずれにしても、「とにかくやってみよう」ということで始めて、そのあたりからビジネスとして回り始めたように思います。こう話すと、割と上手く立ち上がったように聞こえると思いますが、実際立ち上げはしんどかったし、もがいていた記憶がありますね。
――「しんどかった」のは、どんな理由だったのでしょうか?
清水:会社というのは、立ち上げた瞬間にやることが決まっていないと、「オレたちの仕事はコレです!」と誇れるものがないんですね。そんな状態だと当然周りにも理解されませんよね。「あいつら、いったい何やってんだ?」って。
自分たちとしては、命賭けで頑張ってるんですけどね。周りからも理解されず、大して結果も出てないのでビジョンに近づいてる実感も得られず……そういう中で走り続けなければいけないので、精神的にもすり減っていきましたね。