パイオニア、100億円超の赤字で香港ファンド傘下に。今後を不安視する社員の声も…
カーエレクトロニクス分野で残した大きな功績
パイオニアは東京都文京区に本社を置く電機メーカーで、カーエレクトロニクス分野を主な事業として展開している。創業は1938年で、創業者は松本望氏。
ダイナミック・スピーカーの音に感動した松本氏が、「いつか自分でスピーカーを作ろう」と思ったことが創業の原点と言われている。
社名は、開拓者という単語の意味そのものに由来。なお、設立時は福音電機株式会社という社名で、1961年に現在のパイオニアに社名変更した。
主力事業のカーエレクトロニクス分野において、業界をけん引してきた実績を持っており、1984年に、カーCDプレーヤーを世界で初めて発売。また、世界初のGPSカーナビゲーションシステムを販売したのもパイオニアである。
パイオニアと大手電機メーカーの平均年収を比較
日本で有数の電機メーカーであるパイオニア。従業員数や年収などの企業情報を見ていきたい。
Yahoo!ファイナンスによると、パイオニアの現在の従業員数(単独)は3212人。平均年齢は43.2歳。平均年収は750万円だ。国税庁が発表した給与所得者の平均給与は432万円(2017年)であるため、平均を大きく上回っている。
赤字が続いているとは言え、給与面では恵まれていると言えるだろう。
しかしながら、総合電機3社と言われる東芝・三菱電機・日立製作所の平均年収はそれぞれ815万円(平均年齢43.5歳)、792万円(平均年齢40.2歳)、871万円(平均年齢41.7歳)で、これらの3社に比べると年収は劣る。
経営悪化のさなか、社員の実感は?
職場環境はどのようになっているのだろうか。実際にパイオニアで働いている人の声を年間2000万人が訪れる企業の口コミ・給与明細サイト「キャリコネ」ユーザーの情報から紹介する。
報酬についてのコメントでは、
「安くはないが、毎年コスト削減で、ここ10年で、(賞与などが)フルに出てる期間のほうがすくない。査定については、あまり不満を感じたことはない」(プロジェクトリーダー/30代後半男性/正社員/中途入社/10年以上/投稿時に在職/750万円/2018年度)
また経営悪化を受けて退職していく社員もいるようだ。
「再三、リストラ、雇用調整を繰り返していたが、その都度、経営陣から出される業績回復の施策に確信が持てず、将来に不安を感じたので特別退職制度に応募しました。
低価格化などで今後ますます競争が激しくなると思われる、カーエレクトロニクスに注力するという方針にも不安を感じました」(機械設計/40代前半男性/正社員/700万円/2015年度)
スマホの台頭などによりカーナビなどのカーエレクトロニクス分野は今後の見通しがあまりよくない。現行の方針に不安を感じてしまうというのも無理はないだろう。