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オフィスの「フリーアドレス化」が中途半端な結末で終わる要因

学び

職位ごとの自由裁量の余地を見極める

 そもそも、オフィスのフリーアドレスの目的は、経費節減もさることながら、社員一人ひとりの自律裁量の範囲を拡大し、自由な発想で革新的な業務遂行を促すことこそが本旨だと私には思える。一人ひとりを尊重し、自分が働きたいデスクを自分で選んで、のびのびと働いてもらおうという会社のメッセージだ。

 だとすれば、フリーアドレスにしたのは良いが、結局どこに誰が座るかは固定されてしまったり、上位職位のメンバーの反対にあって職位ごとのフリーアドレスに留まっていては、自由裁量の余地は小さい会社だと判断したほうがよい。

 社員の自由裁量の余地の小さい会社は伸びないので、そのような会社には入社しないほうがよい。4つのデスクを5人で使用させるような会社は、一般職をないがしろに扱っている。そのような会社には決して入社してはいけない。

 しかし、新卒で入社するにしても、中途で入社するにしても、オフィスのデスクを直に見ることができる機会がなかったり、限られたりしているケースがほとんどだ。そのような場合でも、企業の社員に対する自律裁量の余地を見極める有効な方法がある。

指定席で発言者が使命される会議は要注意

ビジネス

 それは会議室で実施されるミーティングや説明会やセミナーにおける、席の配置や質問の受け付け方だ。主催部門はよかれと思って、名札を作成し、誰がどこに座ったらよいか、誰と誰が同じグループになったほうがよいかを一生懸命考えて、名札を並べる。参加者は指定された名札の置いてある席に座る。

 参加者が一人ずつ自己紹介をする場合に、前から後ろ、時計回り、あるいは名簿順に指名された順に自己紹介をする。このような光景がよく見られる。いずれも席の押しつけであり、発言の押しつけである。そこからは自由な発想は生まれない。

 会議でも、説明会でも、セミナーでも、私が実施している方法は、真逆の方法だ。すなわち、席は自由で思い思いの席に座っていただく。名札はあらかじめ作成することはしない。名札用の用紙とサインペンを配布しておいて、一人ひとりに記入していただく。

 そして、自己紹介などの発言は、決して順番を決めたりしないし、先に発言した人が次の人を指名したりしないで「話したくなった人から話す」というルールで行う。これには実は深い理由がある。

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