自分の実力を正当に評価してもらうための「勘違いさせる力」
「勝ちにいくなら夢から覚めるべき頃合いだ」
本書は、ふろむださんのブログのように、行間をふんだんに取り、図版も多く、さらに語りかけるような文体で書かれているので、難しい概念も理解しやすくなっています。
ハロー効果や、認知バイアス、感情ヒューリスティックなど、行動経済学や認知心理学の分野で提唱されている現象を、実際の社会生活にどのように生かすことができるのかを、分かりやすく解説されている実践的な本です。逆に、この分野に詳しい人にとっては、内容が物足りなく感じてしまうかもしれません。
ふろむださんはあとがきで読者に次のように語りかけています。
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「現実世界は、『実力が正しく評価される健全でフェアで気持ちのいい世界』なんかじゃない。思考の錯覚の泥沼の中で、錯覚資産という卑怯な武器で殴り合う、油断のならないジャングルなのだ。リアルの戦いで勝ちにいくつもりなら、そろそろ夢から覚めるべき頃合いだ」(本書、P348)
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あなたの周囲にも、実力以上に高い評価を得ている人がいることでしょう。もしかしたらその人は、錯覚資産を持っているからなのかもしれません。
そのように考えてみると、学びの機会として捉えることができ、参考になる点も見えてくることでしょう。
<TEXT/湯浅肇>