「好きなことを仕事にする」発想が危ないワケ。ネットで注目の起業家が語る
今後の社会を見据えて、アドバイスは?
――今の若い人にとって疑問点を持ったほうがいい部分はどこかありますか?
えらてん:まず就活しようというときに、仕事の内容だけで自分の向き不向きを考える傾向があります。向き不向きはそうではなく、朝何時から始業か、上司がどういう人なのか、自分は管理職のほうが向いているのかなど、さまざまなレイヤーがあります。
――仕事選びはどうすればいいのでしょうか?
えらてん:サラリーマンは向き不向きを選べないので、就活生はそういったことを分析したほうがいいと思います。「無理」といっても何が無理で、何が向いているのかをよく分析しないといけません。
――自己分析とは違ってくるのでしょうか?
えらてん:一般的な自己分析とは違います。例えば、病院に勤める医者や看護師であれば「緊急呼び出しの有無」も大きなポイントです。一般的に緊急呼び出しは面倒ですが、なかには僕のように常に緊張状態で、仕事の状態が続いているのが向いている人もいます。つまり自分の職業選ぶときには、やりがいよりも、勤務時間や業態を事前に調べることが重要です。
社会人になれなければ「私のような生き方」を
――起業希望で、経営者が向いている人とは?
えらてん:会社が潰れたら、自分の責任だと自覚し、人のせいにしない人だと思います。例えば従業員を10人雇ったとして、そのうちの1人とどうしても馬が合わないとしても雇い主はクビにできません。当然、自分の会社だから簡単に辞められない。嫌なことを我慢しないといけないんです。
――経営者と労働者の関係性をもう少し教えてください。
えらてん:一般的に経営者のほうが権限はあると言われていますが、実は労働者のほうが強いです。どの労働者にも当てはまることで、経営者よりも強い労働者の権利というのをよく知っておいたほうがいいです。また、起業はとても不自由です。何かしないとお金が出てこないし、家賃が払えなくても毎月振り込まれるとかもない。それに対して、労働者というのは法的に相当恵まれています。
――結局、起業家と労働者はどちらがいいのでしょう。
えらてん:起業のことについて話しましたが、会社員が向いている人は会社員になればいいと思います。どうせ副業が解禁される流れになってくるので、会社に籍を置いたままいればいいわけです。けれども、それができないのであれば、私のような生き方を実践してもいいと思います。
<取材・文/菅堅太 撮影/詠祐真>