KYBだけじゃない、データ改ざんで揺れる日本企業の大問題
油圧機器メーカーの大手「KYB」とその子会社が、免震・制振装置(オイルダンパー)の検査データを改ざんしたことで、大きな問題に発展しています。
KYBに限らず、東洋ゴム工業や、旭化成建材、神戸製鋼所など、日本を代表する大手企業の不正が相次いでいます。
今回は、過去2~3年の間に起きた、製造・建築業界の主なデータ改ざん問題を取り上げます。
不正の方法を担当者が引き継いでいた「KYB」
油圧機器メーカーの大手「KYB」とその子会社の「カヤバシステムマシナリー」は、免震・制振装置(オイルダンパー)の検査結果が基準値から大きく外れていても、データを書き換えてそのまま出荷していました(参照:日経新聞)。
基準を満たさない製品は、全国で987件使用されているとのことで、その中には官公庁の重要な施設や、東京五輪の競技会場も含まれているとされています。不正の疑いがある装置は交換される予定ですが、交換部品の生産が追いつかず、事態の解決は長引きそうです。
不正は2003年頃から続いていた可能性が高く、会見では「担当者が書き換えの方法を脈々と引き継いでいた」と経緯を説明しています。
また、この件が発覚したきっかけとなったのは、子会社で組み立てを担当していた元従業員の内部通報でした。2018年8月に内部通報を受けたとされており、公表が2か月も遅れたことについても批判が集まっています(参照:産経新聞)。
さらに、内部通報をした社員は本人の意向で退職したとのことで、その処分についても疑問視されています。
免震ゴムの数値データを偽った「東洋ゴム工業」
モノづくり大国として、高品質の工業製品を作ってきた日本。しかし実際には、基準に満たない製品のデータを偽った事例は枚挙に暇がありません。
直近の数年の間に日本の製造・建築業界で起きたデータ改ざんの事例をいくつか取り上げます。
2015年3月、東洋ゴム工業は、販売していた免震ゴムの不良品の出荷や数値データを偽っていたと発表しました。
この製品は、自治体の庁舎や、マンション、病院など、国内の55棟の建物で使用されていました。さらに、同年10月には、電車や船舶などで使用される防振ゴムの不正が発覚。ずさんな調査と組織ぐるみの先送り体質が改めて浮き彫りになりました(参照:日経新聞)。