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ネット上での名誉毀損は匿名でも成立!?損害賠償の相場は?【弁護士に聞く男女問題】

ネット上での名誉毀損は匿名でも成立!?損害賠償の相場は?【弁護士に聞く男女問題】

浮気や不倫、DVなど、男女間の問題は、どんなに小さなきっかけでも深刻な事態を招くことがあります。特に法律的な側面で悩んでいる方にとって、どのような対処が適切なのか、また、トラブルが大きくなる前にどのように防ぐべきかという疑問が絶えません。本連載では、経験豊富な弁護士に、浮気や不倫にまつわる法律の基本や実際のケースに基づいたアドバイスを聞き、問題解決に向けたヒントをお伝えします。

今回は、「SNSやネット上での誹謗中傷・名誉毀損」について、アディーレ法律事務所の池田貴之弁護士に解説していただきました。

匿名でもSNSやネット上での名誉毀損は成立

Q1. 元交際相手がSNSで「浮気された」「ひどい人だった」などと投稿し、間接的に私のことだとわかる内容になっています。これでも名誉毀損にあたる可能性はありますか?

池田弁護士:浮気したことなどという具体的な事実を上げて、間接的にでも人物を特定できるような内容になっている場合には、名誉棄損に当たる可能性があります

明示的に氏名を記載したりしていなかったとしても、周辺の事実から知人友人であれば特定できるような内容になっていれば、名誉棄損の要件には該当することになります。

Q2. アカウント名は匿名ですが、投稿内容から私だと特定されかねません。このような場合でも法的措置は取れるのでしょうか?

池田弁護士:アカウント名が匿名だとしても、投稿内容からだけでも特定できるようなら、名誉棄損などの法的措置を取ることは可能です。アカウント名についてはあくまで特定できるかの一要因として、実名であれば特定しやすくなるという意味で効果はあるものと思われます。

スクリーンショットで保存した投稿が証拠に

Q3. 名誉毀損や侮辱罪で訴えるには、どのような証拠を残しておくべきですか? 損害賠償額の相場はいくらですか?

池田弁護士:名誉毀損か侮辱罪かの違いは具体的な事実を適示しているかどうかです。侮辱罪は「バカ」「アホ」など、事実の摘示なしに公然と侮辱する犯罪ですが、名誉毀損は、具体的な事実を適示されて、名誉を棄損された事実によって成立します。

したがって、主にはSNSなどで投稿されたことによるものであれば、当該投稿のスクリーンショットなどを保存しておくのが良いかと思います。特にSNSでは、後から投稿を削除されてしまう可能性があるかと思いますので、発見したときにスクリーンショットを取っておくことをお勧めします。

侮辱罪による損害賠償(慰謝料)の相場は、数万円から10万円程度、名誉毀損の場合、相場は個人で10万~50万円、企業・法人で50万~100万円程度です。

[協力]
アディーレ法律事務所

池田貴之(アディーレ法律事務所)
弁護士。不倫問題や離婚問題といった男女間のトラブルを主に取り扱う。第一東京弁護士会所属。

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