bizSPA!

恋人との性行為でも犯罪になる?「不同意性交等罪」を解説【弁護士に聞く男女問題】

恋人との性行為でも犯罪になる?「不同意性交等罪」を解説【弁護士に聞く男女問題】

浮気や不倫、DVなど、男女間の問題は、どんなに小さなきっかけでも深刻な事態を招くことがあります。特に法律的な側面で悩んでいる方にとって、どのような対処が適切なのか、また、トラブルが大きくなる前にどのように防ぐべきかという疑問が絶えません。本連載では、経験豊富な弁護士に、浮気や不倫にまつわる法律の基本や実際のケースに基づいたアドバイスを聞き、問題解決に向けたヒントをお伝えします。

今回は、「性行為をめぐる同意の認識の相違」について、アディーレ法律事務所の池田貴之弁護士に解説していただきました。

恋人との性行為をめぐる「同意」とは

Q1. 恋人同士だった相手から、性行為後に「無理やりだった」と訴えられるケースがあると聞きます。当時は同意があったと感じていた場合、どう対応すべきでしょうか?

池田弁護士:「同意」の有無によって、不同意性交等罪(刑法177条)として責任を追及されてしまう可能性があります。その際の「同意」については、口頭でのやり取りが多いかと思いますが、LINEなどのやり取りが残っていれば、同意があったことを証明する手段としては使えるでしょう。

また、明確な同意のやり取りが残っていなかったとしても、同意が無ければ通常しないようなやり取りをしていたかどうか、例えば「また行こうね」「誘ってくれてありがとう」などとやり取りしていれば、通常同意があったと言えるかと思います。

そのようなやり取りなどがなかったとしても、その後警察には相談しているのかなど、無理やりだったのであれば通常取るべき行動を相手が取っていないなどの点があれば、争える余地はあるかと思います。

飲酒で判断能力が欠如した場合は要注意

Q2. お酒を飲んだ状態での性行為について、同意の有無はどう判断されるのでしょうか?

池田弁護士:相手に「同意がなかった」と言われてしまうと、不同意性交罪などに該当してしまう余地があります。この場合、明確に「同意」があったかではなく、「同意」できるような状態にはおよそなかったのではないか、という点が基準となります。

泥酔しすぎて、自らの性的自由を行使する判断能力が欠如している状態の場合、具体的には、歩行も困難だった、会話もおぼつかなかった、などの事実から上記判断能力の欠如状態だったと評価できるかことが基準となると思われます。

不同意性交等罪に該当するケース

Q3. 相手が「嫌とは言っていなかった」という状況でも、不同意性交等罪などに問われる可能性はあるのでしょうか?

池田弁護士:明確に嫌とは言っていなかったとしても、外形上、明らかに拒否していたような場合には、そのうえで無理やり性行為に及んでいれば当然、不同意性交罪に該当する行為になると思われます。

もっとも、「本当は嫌だったんだけど」という程度で、何ら嫌がるそぶりなどを見せていなかったような場合には、不同意だったと評価するほうが厳しいと言えるでしょう。

[協力]
アディーレ法律事務所

池田貴之(アディーレ法律事務所)
弁護士。不倫問題や離婚問題といった男女間のトラブルを主に取り扱う。第一東京弁護士会所属。

おすすめ記事