イニシャルコストとは?意味やランニングコストの違いも解説【いまさら聞けないビジネス用語】

ビジネスシーンにおいて、適切な言葉遣いは重要なスキルのひとつ。基本的なビジネス用語を理解していることは、コミュニケーションの円滑化に直結します。本記事では、いまさら人に聞けないけれど、知っておきたいビジネス用語をわかりやすく解説。それぞれの用語が持つ背景や使用されるシチュエーションを押さえておくことで、職場での会話やメールに自信を持てるようになります。今回は「イニシャルコスト」の意味や具体例、「ランニングコスト」との違いを紹介します。
目次
「イニシャルコスト」とは事業を始める際などに発生する初期費用のこと
イニシャルコスト(Initial Cost)とは、ある事業やプロジェクト、製品・サービスなどを導入する際に発生する初期費用のことを指します。「導入コスト」や「初期投資」とも呼ばれ、導入時に支払う費用であることから、基本的に一度だけ発生する費用という特徴があります。
初期費用の大小は事業に大きく影響し、イニシャルコストをかけて高い品質の設備やシステムを投入することで、長期的な維持費が抑えられる可能性があります。反対にイニシャルコストを抑えて品質の低い設備やシステムを投入すると、初期の資金負担は軽くなりますが、後々のメンテナンス費や追加投資が必要になることがあります。
また、イニシャルコストを支払ったあと、利益を得て投資を回収するまでには時間がかかるため、投資回収期間を試算する必要もあるでしょう。
イニシャルコストの具体例
業界や業種によってイニシャルコストをかける部分は異なりますが、具体的には下記のような項目が挙げられます。
設備導入費
イニシャルコストの中で大きな割合を占めるのが、設備投資や機器の導入費です。設備導入費には以下のようなものがあります。
・工場の機械や製造ラインの導入費
・事務所のパソコンやプリンター、家具の購入費
・医療機関の医療機器の購入費
システム導入費
コンピューターを使用するような事業の場合は、最新のシステムやソフトウェアの導入が求められることもあります。
・ソフトウェアの開発費・導入費
・サーバーの構築費
・ネットワークインフラの整備費
建築・施設関連費
事業所などを新設するケースや、オフィスの移転などが必要なケースには、建築・施設関連費として下記のようなイニシャルコストがかかります。
・事業所や店舗の新築・改装費
・倉庫や物流センターの建設費
・オフィスの内装工事費
人材・研修費
新規の事業やプロジェクトを始めるためには、必要な人材の確保や教育が必要になることもあります。
・新規事業の立ち上げに伴う採用費
・新システム導入時の研修費
・研修マニュアルや教材の作成費
ランニングコストとの違い
イニシャルコストに関連する言葉として「ランニングコスト(Running Cost)」があり、これは設備・システム・事業などを運用・維持するために継続的に発生する費用のことを指します。
「維持費」「運用コスト」とも呼ばれ、イニシャルコストとは異なり、事業が継続する限り発生し続けるのが特徴です。ランニングコストに含まれる費用として、下記のようなものが挙げられます。
人件費
・社員の給与、賞与、社会保険料
・アルバイトやパートの人件費
・外部委託費(アウトソーシング)
維持管理費
・設備のメンテナンス費用
・オフィスや工場の清掃費
・建物や機械の修繕費
光熱費/通信費
・電気・水道・ガス代
・インターネット通信費
・携帯電話や固定電話の通話料
資材・消耗品費
・事務用品(コピー用紙、文房具)
・製造業の原材料費
・パソコンやソフトウェアのライセンス費用
イニシャルコストは品質や内容とのバランスを見て決めよう
事業やプロジェクトを始める際に、必ず必要になるイニシャルコスト。必要な設備やシステムを整えるために大きな出費になってしまう可能性があるため、できるだけ安いものを選びたいと考える方もいるでしょう。
しかし、イニシャルコストを抑えて安価な機器を導入した場合でも、ランニングコストが高くなれば結果的にコスト負担が大きくなる可能性があります。そのため、イニシャルコストだけでなく長期的な視点でランニングコストも含めたコストの総額を把握することが大切です。