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【10月27日衆院選】石破総理大臣が就任直後に衆議院を解散した理由

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【10月27日衆院選】石破総理大臣が就任直後に衆議院を解散した理由

インターネットやSNSで世界中の情報がリアルタイムで手に入る時代、オンライン会議で日本はもちろん、海外のどこにいてもコミュニケーションできるのが当たり前となった。ビジネスパーソンなら海外のビジネス関係のニュースも押さえておきたい。

そこで、各国の情勢に精通しているピエール・パパンさんに、2024年10月27日に衆議院議員選挙が行われる背景について解説してもらった(以下、ピエール・パパンさんの寄稿)。

10月27日に50回目となる衆議院総選挙

若者にとって今や一大イベントになったハロウィーン直前の10月27日、50回目となる衆議院総選挙が行われることとなった。9月27日に自民党のリーダーを決める総裁選挙が実施され、石破茂氏が決選投票の末に勝利し、10月1日に総理大臣に就任してから1週間足らずで衆議院の解散を明らかにした。

全国各地で選挙キャンペーンが行われている。あちらこちらで鉢巻やたすきを付けた政治家が選挙カーに乗り、「一票をお願いします」などと街宣するシーンを我々は目撃しているだろう。

総理就任後すぐに衆議院を解散した背景

では、そもそもなぜ石破さんは総理になった途端に衆議院を解散したのか。衆議院選挙を実施するだけでも600億円の税金が使われるとの見方もあり、そんなお金があるのだったら能登復興に使うべきだとの意見もあろう。

石破さんは総理に就任する以前、衆議院の解散と総選挙は政治や経済、外交などの状況を見ながら適切なタイミングで検討するとの姿勢だったが、総理になった途端に”すぐ解散”の姿勢に変わったことから、野党からは言っていることとやっていることが違うじゃないかと早々に石破批判が集まっている。

リスク回避のための解散・総選挙

衆議院を解散する狙いはいくつかあると思われるが、まずは国民からの支持、お墨付きをもらって政権運営を進めていきたいという狙いがある。もう日本政治の文化のようになっているが、自民党政権が発足しても支持率が最も高いのは政権発足当初であり、時間の経過とともに国民からの支持率は逓減していく(文春砲などを喰らえば急落する)傾向にある。

要は、政権が発足したまさにいま衆議院を解散し、選挙を実施することで、衆議院の議席の過半数以上を獲得しようとしているのだ。自民党が(公明党とともに)選挙で過半数以上の議席を獲得すれば、石破さんは国民から支持、お墨付きをもらったということで長期的に日本のリーダーとして仕事をしやすくできるのだ。

石破政権の発足直後の支持率は50%あまりとされるが、今後40%台、30%台に徐々に低下していく可能性を考えれば、いま選挙をやったほうが過半数の議席を獲得できる可能性は高い。国民は石破政権がどんな仕事をしていくのかを見ている状態にあり、まだ石破批判は国民の間で大きく広がってはいない。

石破さんに対する批判が広がる中で選挙を実施すれば、自民党は過半数を獲得できなくなり、与党から野党に移る可能性があることから、石破さんはリスク回避のために衆議院を解散、総選挙を決定したといえよう。

フランスのパリやカンヌなどに留学し、フランスやその他の国々を旅し、ライティング活動を行っている。

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