祝日は日本より少ないが5週間の有休消化は常識!【世界の働き方事情・イギリス】
海外在住ライターや海外で働いた経験を持つライターが、各国の仕事事情を紹介するシリーズ「世界の働き方事情」。今回は、イギリスでのホリデー事情を現地でフルタイムで働くワーキングペアレンツライターが紹介します。
目次
ホリデーが待ち遠しいイギリス人の働き方
イギリスでの職場の3大雑談トピックといえば「天気」「今日の電車、道路の込み具合」、そして「ホリデー」というほど、イギリス人は長期休暇を楽しみに生活しています。オンオフがしっかりしているイギリス人の休み方について触れていきたいと思います。
祝日は年8日間しかないイギリス
イギリスではなんと国民の祝日にあたるバンクホリデ―が1年間に8日間しかありません(日本の国民の祝日は1年で21日)。つまりカレンダー通りに働いた場合、日本の方が13日(週5日勤務と考えると2週間と3日)も長く休める、もしくは休んでいることになるなんて驚きませんか?
では、なぜイギリス人がいつも旅行を楽しんだり長期休暇が取れるのかというと、有給休暇を存分に楽しんでいるからです。
イギリスの有給休暇は5〜6週間が一般的
イギリスでは、フルタイムで1日8時間勤務の人の多くは、1年で最低でも25日程度(5週間)の有給休暇が認められています。また、勤務年数が上がると有給休暇も増えるという職場も多く、同じ公的機関に15年勤務中の筆者は1年で35日(7週間)の有給休暇ありというありがたい状況です。
有給休暇は使い切るのが常識!
祝日は少ないイギリスですが、5〜6週間(25〜30日)ある有給休暇のうち、消化率は80%を超えており、ほとんどの人が有給休暇を使い切ります。
これといって旅行などの予定がない場合でも「有給休暇消費のために家でのんびり数日過ごす」人も多くいます。また、使い切れなかった場合や、次の年に大きな旅行を計画している場合などは、次の年へ3〜5日程度なら持ち越すことも可能です。
有給休暇を旅行などで使いきってしまっても、病気で休むときのために取っておく必要もありません。職場によって異なりますが、新型コロナウイルス感染症を含め、風邪やインフルエンザなどが理由の病欠でも、度を越した長期や頻繁でない限りは有給で休めるケースが多いので、有給休暇を使う必要がないのです。
一般的な長期休暇の取り方
有給休暇は基本的にはいつ取ってもいいのですが、クリスマスと年末年始に1〜2週間、3〜4月ごろのキリスト教の復活祭イースターに1週間、夏に2週間休むというのが一般的です。
ただし、海外旅行はクリスマスや夏のピークシーズンをはずしたほうが安いなどの理由で、夏の代わりに9月や10月におそめの夏休みを取る、というようなこともよく聞きます。
秋や冬にはどんよりした天気が長く続くイギリスでは、春や夏にアウトドアが楽しめるホリデーやビーチへのバカンスなどを夢見つつ生活する人も多く、常に旅行や長期休暇の話題が職場では盛り上がります。
パーティやイベントでチームワークを育てる
オンとオフがはっきりしているイギリスでは、あまり職場のイベントは多くないものの、12月になるとクリスマスパーティをするところは比較的あります。ただし、家庭環境などを配慮してランチタイムに企画されることが多いです。
また、その会社やその年の経済状況によりますが、会社側が夏にはBBQパーティーを企画したり、またチームの結束を強めるためにアスレチックやゴーカートといったお楽しみイベントを企画するところもあります。とはいえ、どの企画も休日ではなく勤務日に勤務時間内に企画されることが常識です。
有給休暇は権利、イベントは勤務時間内で、オンオフを貫く
仕事に求めるものの上位に「ワークライフバランス」を掲げる人も多いイギリスでは、しっかりとオンオフを貫きます。有給休暇は躊躇なくすべて消化し、仕事場でのイベント、パーティも勤務時間内に楽しむといった徹底ぶりです。
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[文/フレッチャー愛]
20代のころからイギリス在住。科学者。フットボールに夢中な男の子の母親として奮闘中。ヨーロッパ各地のマーケット(蚤の市)散策、ワイン、見晴らしのよい絶景スポット、特に海が大好き。世界のどこにいても、毎日を気楽に楽しめるヒントを共有していきたいです!