一流の整理術は「かばんの中にポーチ」新社会人こそ試したいビジネスバッグ&デスクの整え方
この春から働き始めた若いビジネスパーソンの皆さん、職場での生活にはもう慣れただろうか。慣れてくれば、良くも悪くも自分の素が出始める。
例えば、デスクの周りは奇麗に整理できているだろうか。入社以来受け取ってきた名刺はきちんと管理できているだろうか。ビジネスバッグの中は散らかっていないだろうか。
身の回りが散らかっていると、周りからの印象も悪くなる。自分自身の業務にもロスが生じる。
ちょっとした助けを先輩や上司に欠勤時に求めようとしても、求められた側の人たちがどこに何があるのか把握できず、困ってしまうかもしれない。
そこで今回は、株式会社office Root(オフィスルート)代表取締役社長の甲州潤(こうしゅうじゅん)さんに、フレッシュなビジネスパーソン向けの整理術を語ってもらった。
甲州さんは、PM(プロジェクトマネジャー)の補佐役として、メンバー間や会社間の橋渡しを行ったり、プロジェクト全体のマネジメントを担ったり、込み入った問題を交通整理したりする一流の仕事人だ。
〈DX時代の最強PMOになる方法〉(ビジネス教育出版社)を出版した著者でもある。当然、身の回りの整理にも、シンプルかつ効果的な方法論を確立している。
若手ビジネスパーソンは最後まで読んで、身の回りの整理に生かしてもらいたい(以下、甲州潤さんの寄稿)
「物の場所を自分だけ分かっていればいい」は駄目
新入社員となった皆さん。この時期は、ビジネスマナーや具体的な業務について、さまざまな研修を会社で受けているでしょう。しかし「整理術」についてはなかなか教わらないと思います。
ここで言う「整理」の対象は書類、デスク、共有スペースなど多岐にわたります。本記事では、なぜ整理が大事なのか、および具体的な整理術についてお話ししようと思います。
ちょっと偉そうな出だしになりましたが、冒頭で告白させてください。
筆者・甲州自身の仕事用デスクは常に整理整頓されていますが、プライベートのデスクは見せられないくらい汚いです。安心してください(笑)
しかし実は、このギャップに整理の本質があると思っています。
なぜ、仕事用のデスクとプライベートのデスクで、これほどまで整理の到達度に差があるのか。
その大きな理由は「物の場所を自分だけが分かっていればいい」か「チームメンバーも分からないとまずい」かの違いがあるからです。
「1人だけで行う仕事」はまずありません。仕事には常に複数、大勢のメンバーが時には携わります。
その現場で、情報や物の場所が整理されておらず、探す時間が発生してしまうと、誰かの仕事の手が止まってしまいます。
そうした事態が頻繁に発生すれば、プロジェクト進行の妨げにすらなるでしょう。
仕事において「物の場所が自分さえ分かっていればいい」では足りません。
プロジェクトに関わる全員が、どこに何があるのか把握している。その環境をつくるために整理術の習得が大事で、その整理術の基本が、身近なかばんだったりデスクだったりの整理で身に付くのです。
かばんの中でポーチを持ち運ぶ
具体的な整理術に入る前に「整理すべき物」の分類を整理する必要があります。仕事周りだと次の4つに大きく分けられます。
1.面積が「小さい」×「リアル」な物の整理
(例:名刺入れ、ビジネスバッグなど)
2.面積が「大きい」×「リアル」な物の整理
(例:引き出しの中、デスクなど)
3.面積が「小さい」×「デジタル」ツールの整理
(例:スマホのトップ画面、スマホ内の電話帳など)
4.面積が「大きい」×「デジタル」ツールの整理
(例:パソコンのトップ画面、フォルダの中など)
手に触れられないデジタルツールよりも、手に触れられるリアルな物の方が整理術を練習する際には取り組みやすいです。
本記事では、1と2の整理について、筆者の甲州がいつも行っている方法論をベースにお話しします(3と4は、次回の記事で)。
まずは1番、ビジネスバッグを例にお話しします。
私はよく、ビジネス用のかばんを交換するので、中身をすぐ入れ替えられるように仕事の必需品は、ガジェットポーチに入れて「ポーチをかばんで持ち運ぶ」ようにしています。
「細々した物はガジェットポーチにまとめる」
「仕事に不要な物、余計な物は一切持たない」
がマイルールです。カバンの中がすっきりしますし、物の紛失を防げるからです。
例えば日ごろ、バッグに入れている荷物が以下のような内容だったとします。
・パソコン
・充電器
・ケーブル類
・付せん
・印鑑
・名刺ケース
・靴ベラ
・あめやガム
・メガネケース
・お財布(カードケース、マネークリップを含む)
・鍵(カラビナ)
まずは、この中で、仕事の必需品である細々した物を仕分けます。
・充電器
・ケーブル類
・付せん
・印鑑
・名刺ケース
・靴ベラ
・あめやガム
あくまでも、細々とした仕事の必需品に絞り込んでください。人によっては靴ベラが外れるかもしれません。そもそも印鑑が不要な人も居るはずです。
自分の業務にとって欠かせない物を選別し、ガジェットポーチにまとめて入れ、そのガジェットポーチをかばんの中に入れる(ポーチを持ち運ぶ)ようにするのです。
ちなみに、筆者・甲州の愛用するガジェットポーチは自立できるタイプです。
そのため仕事中は、かばんから取り出しデスクに置いて、必要な物を都度、取り出しては戻すといった感じで使っています。業務が終わればポーチ自体をかばんに戻します。とても便利です。
ただし、ポーチの中は煩雑でも構いません。ポーチの中の整理まで最初からこだわってしまうと、だんだんと整理が目的になってきてしまうからです。
書類の束に名前を付ける
次に、2番のパターンです。例えば、引き出しの中を考えましょう。
かばんや名刺入れに比べて少し広い場所になりますが、意識するポイントは大きく変わりません。
引き出しの中で散乱しがちな物は、さまざまなタイプの書類ではないでしょうか。ペーパーレスの時代とはいえ、日々の業務では書類や資料が自然にたまっていきます。
私の場合、お客さまのオフィスに常駐する形で仕事をする機会が多いため、固定デスクが基本的にありません。
その上、紙などのプロジェクト書類は外には持ち出さずオフィス内に保管するため、必然的に保管しやすい状態が求められます。
そこで私は、プロジェクトごとにクリアファイルで書類をまとめ、プロジェクト名を書いた付せんを表面に付けて、クリアファイルごとに管理しています。
プロジェクトが複数ある場合は、クリアファイルの束をさらにまとめておきます。
気を付ける点はただ1つ。「他のプロジェクトの資料を絶対に入れ込まない」です。それだけ守れば、クリアファイルの中の順序や並びにまでこだわる必要はありません。
ファイル化しておけば、他のメンバーに資料を共有する際もスムーズです。前述した、かばんの中のガジェットポーチの話に寄せて言うと、クリアファイルの束を引き出しに保管しておくイメージです。
よく整理術で「物の住所を決める」と言われます。私の場合は「物(書類)に名前を付ける」で整理を行っています。
整理の基本は「持たない・抱えない」
デスク周りについても同じです。かばんの整理術、引き出しの整理術の延長で対処が可能です。
私の場合、お客さまのオフィスに常駐する形で仕事をする機会が多いと前述しました。
固定デスクが基本的にないのであれば、仕事で使うデスクにはほとんど物が保管しておけません。
そこで、繰り返しになりますが必需品は全て、ガジェットポーチから出し入れします。必需品そのものについても、ホチキスやはさみといった文具を極力持たないようにして数を減らすようにしています。
「じゃあ、どうしても紙を、ホチキスでまとめて資料を出さなければいけない時はどうするの?」と思われるかもしれませんが、前述したクリアファイルで代用できます。
ガジェットポーチとクリアファイルの組み合わせで、固定デスクがある人でも筆者と同じように、ほとんど物がデスクにない状況を実現できます。
仕事に応じた必需品を極力絞り込み、それ以外は代用するという工夫も、立派な整理術だと思っています。
もちろん、皆さんの業務に応じてデスクにあえて物を置く必要も生じるかもしれません。
筆者の甲州の場合、以前にメモ術の記事でも紹介したA4の紙と水性マーカーをあえて置いています。
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ただ、いずれにしても整理の基本は「多くの物を持たない・抱えない」です。
ミニマリストを仕事では意識して、今回紹介したガジェットポーチと付せん付きクリアファイルだけでも、試していただけたら幸いです。
[文/甲州潤]