【鳴り止まない警告音】救ってくれたのはLINEで送られた3行のコード。しかしその代償は…
サーバーのメンテナンスを保守する仕事に盆も暮も正月もありません。24時間365日、正常に動作しているのは誰かがメンテナンスをしているおかげです。今回はとあるサーバー管理会社に勤務する男性のエピソードをご紹介します。
何事もなければラクな保守業務
今回のエピソードの主人公は、中堅のサーバー管理会社に勤めている賢治さん(仮名・27歳)です。彼の仕事は、サーバーのメンテナンスや保守作業。24時間監視が必須で、いつでも対応できるように誰かが職場に待機しているそうです。盆・暮・正月も所属部署スタッフのも持ち回りで出勤し、対応にあたっています。
「そう言った面では、営業とは違った大変さがありますね。でも、トラブルが起きることは稀ですから、普段は溜まっている他の業務を進めたり、TikTokを見たりして時間を潰してます。こういう日はオフィスに人がいないから気楽だし仕事も集中できます」
その年のお盆は賢治さんが当番にあたっていました。
いつも通り、トラブルなど起きるわけもなく、悠々自適な勤務時間を過ごしていました。ところが、出勤前にコンビニで買った漫画雑誌に目を通そうと手を伸ばしたその時、サーバールームに警告音が鳴り響きます。
鳴り止まない警告音、先輩にも連絡がつかず
「どうやら、一部のサーバーに異常な負荷がかかっている様子でした。実は自分が持ち回りの担当の際に警告音が鳴るということ自体が初めてだったため、とても焦りました。慌てて先輩が作ってくれたマニュアルをひっくり返して対処法を調べました」
しかし、いくらマニュアルを読んでも今回の件に該当しそうなエラーは記載されていません。それらしい場所をいじっても一向にエラーが解消されず、挙句の果てにはシステム全体がダウンしてしまう危機が迫る事態に。
対処法を聞き出そうと急いで先輩社員にLINEをする賢治さんでしたが、そういう時に限ってなぜか連絡がつきません。
「お盆でスマホを見ていなかったのか、先輩にも全然繋がりませんでした。負荷が増大すぎて、請け負っている全てのサービスが停止寸前でしたから、もうホントに焦りました。」
大学時代の女友達からたまたま連絡が…
なんとか先輩社員と連絡を取ろうと試みますが、どんなにLINEをしても既読すらつきませんでした。
そんなとき、情報工学部時代に同じゼミだった幸代さん(仮名・26歳)から連絡が届きます。「おっす~!元気?お盆で暇だから飲みに行かない?」という緊迫感に欠けたLINEの内容です。賢治さんはギクッとしつつ、当然後回しにしようとします。
「実は、大学時代に幸代に一方的に好かれていたんです。一時期は半ばストーカーっぽくなってしまい避けていました。ただ、同じゼミ仲間だったので完全に関係を断つことはできませんでした。だからこそ、付かず離れずの関係を保とうと努力していましたし、自分から連絡することはもってのほか、返信する際も素っ気ない返事をするように心掛けていました」
しかし、賢治さんはふと思い立ちます。
「幸代はサーバー関連に関する知識はずば抜けて持っていました。なにしろサーバーに関する研究で卒業論文を書いて卒業していましたからね。彼女に尋ねたら解決できるかもしれない、と思い立ったんです」
背に腹はかえられないと考えた賢治さんは、幸代さんに自分が置かれている現状を話しました。しばらくすると、たった3行のスクリプトコードが送られてきました。それをもとに再起動させてみると、見事に正常動作に戻りました。
一難去ってまた一難…
ほっと安心し、お礼を述べるLINEを幸代さんに送った賢治さん。
「職場での自分の面子は保たれました。しかし、それから幸代さんからたびたびLINEで連絡が来るようになったんです。せっかく、離れてくれたと思ったのに……」
学生時代の悪夢を思い出し、複雑な毎日を送っているそうです。きっと、またストーカーっぽく執拗に迫られる日々が始まるのだろうと憂い、賢治さんはがくっと肩を落としました。
男女関係というのは難しいもの。好きになってくれた相手のことを自分も好きになれるというわけでは必ずしもありません。賢治さんと幸代さんがお互いにとって心地よい関係を築くことができる日が来ることを願って止みません。
<TEXT/ベルクちゃん>