「ゆるキャラブーム」に終焉の兆し…アベノミクスが原因!?
くまモン、ひこにゃん、ふなっしー……メディアで引っ張りだこだった、ゆるキャラの露出が激減している。そこにブームを牽引した「ゆるキャラグランプリ」終了の噂。人気者たちは路頭に迷ってしまうのか? その内幕を探った。
“八百万の神”を襲うゆるくない深刻な事情
いまや日本の津々浦々まで、各地の地方自治体にあふれている「ゆるキャラ」。もはや実数のカウントが不可能なほどにふくれあがった大勢力を評して、「ゆるキャラ」の命名者であり商標権者である評論家のみうらじゅん氏は、かつてこう喝破した。「『ゆるキャラ』は日本古来の八百万の神が変化したものである」と。
だが、いまその無数の神が、深刻な危機に瀕している。’10年に始まって以来、「ひこにゃん」や「くまモン」などのそうそうたる名物キャラを全国区にプッシュしてきた「ゆるキャラグランプリ」が、五輪イヤーである’20年の実施をもって終了の見通しなのだ。
ゆるキャラ業界において、同グランプリの存在はどのような重みを持っているのか。’07年の“ひこにゃん大ブレイク”でゆるキャラブームが起きる以前から、戸越銀次郎(東京・戸越銀座商店街)や大崎一番太郎(東京・大崎駅西口商店会)といったご当地キャラのデザインやプロデュースに携わってきた犬山秋彦氏に聞いた。
「ゆるキャラグランプリは、ゆるキャラ界の登竜門です。ここで世間に認知してもらい、1位を獲れれば、大きな経済効果を地元にもたらします。たとえば、’11年にグランプリを獲ったくまモンが人気絶頂の頃は、くまモンをパッケージに使ったポッキーの売り上げが2倍になったし、’16年グランプリの『しんじょう君』(高知県)がツイッターでつぶやいただけで、銀座のアンテナショップの醤油が売り切れました。しかも、数え切れないほどのゆるキャラが乱立している中にあって、グランプリで一度成り上がってしまえば、廃れることはないんです」