パワハラ課長の態度を「ハッタリ」で改めさせた若手社員の機転とは
会社内におけるハラスメント対策を事業主の義務とした「労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」。2020年6月の施行当初は大企業のみを対象としていましたが、今年4月からは中小企業まで対象を拡大。
ハラスメントの事実を国が確認した場合、事業者名を公表される可能性はありますが、そもそも同法は罰則規定が設けられていません。一定の抑止力にはなりそうですが、規模の小さい会社が法に従ってきちんと対策を進められるのかなどの懸念もあるようです。
部下を信用せず、意見すら認めないブラック上司
大学卒業後、電子部品メーカーに就職した田中茂幸さん(仮名・31歳)は、資材課を経て25歳のときに支社営業部に異動。最初の上司は面倒見が良く、それまで営業未経験だった彼のことをしっかりとフォロー。「すぐに結果を出せるようになったのは、この課長のおかげ」と今でも感謝しているといいます。
「でも、その方は次の年に本社へ栄転となってしまったんです。しかも、代わりに来た後任の課長がとにかく嫌な奴だった(笑)。基本的に部下を信じない人で、それどころか前の課長を一方的にライバル視しているようで仕事の進め方まで批判してきました。
マニュアルにない業務に関しては、最初の課長に教わったやり方をベースに自分なりに試行錯誤して進めていましたが、新課長は自分の指示するやり方に強制的に変えさせたんです」
上司のことを気にせず仕事をしたら……
「新課長のやり方は、効率が悪いうえにトラブルも起きやすかったんですけど、意見しても嫌そうな表情を浮かべて却下。仕方なく従って仕事をしても、今度は『言われたことしかやらない』とダメ出し。そして、部署内の飲み会では執拗に絡んできては、『お前みたいな奴はどこへ行っても通用しない』『自分が無能で人に迷惑をかけてる自覚すらない』など人格を否定してくる。仕事に厳しいのではなく単に私のことが気に入らないだけだったんです」
帰省した際、父親に仕事のことを聞かれグチにならない程度に上司のことを話すと、「社会には理不尽なことが多い。そんな上司のもとで働くのもいい経験だ」と一喝後に後を継ぐことが決まっていました。
いずれは辞めることが決まっていたこともあり、パワハラを受け続けても巧みにいなしていたとか。そうして迎えた28歳になったある日、事件が起こります。