“捨てられた男”になった吉村界人29歳の本音「ちょっとだけ自分を知れた」
並居る同世代の俳優たちの中でも、さまざまな作品で異彩を放っている吉村界人さん(29)。
狂気的な役柄や、物語をかき乱すキャラクターなど、個性的なイメージの強い吉村さんですが、現在公開中の映画『遠くへ,もっと遠くへ』では、失踪した妻を捜して、離婚したばかりの女性・小夜子(新藤まなみ)と旅に出る、“振り回される側”の男・洋平を演じています。
新たな魅力を見せながら、自分は俳優に「全く向いてない」と言い切る吉村さんにインタビュー。「全ての原動力は反発心」という発言のなかで、これまで実際に出会った先輩から、惹かれた俳優さんを2人教えてくれました。
改めて「女性は強いなぁ」と
――吉村さんには、振り回す役のイメージを持っている人が多いかと。でも今回は「捨てられた男」として振り回される役ですね。
吉村界人(以下、吉村):これまではかき回す役が多くて。機会がなかっただけなんですけど、今回難しかったですね。事務所の社長からも「お前、おっちょこちょいでコミカルな役もできるんだな」と言われました(笑)。
――妻の浮気相手の家に、興奮して“おたま”を持って乗り込んだり(笑)。新鮮でした。
吉村:そうですね。自分でも新鮮でした。「女性は強いなぁ」と改めて認識しました。出て行った妻にしろ、出会って影響を与え合っていく小夜子にしろ、マイウェイな感じというか。ウジウジして湿っぽかったりしない、カラッとしていて強いなと思いました。
良きパパみたいな役もやってみたい
――女性に振り回される感じは、吉村さん自身は理解できますか?
吉村:「俺が引っ張ってくぜ!」みたいな気持ちでいますけど、全然できていないのが現実です(笑)。だから振り回される洋平のことも理解できなくはないです。
――演じる役が広がってきた面白さは感じていますか?
吉村:そうですね。20代前半は不良かオタク、あとは狂気的な人とか殺人者とか、極端なキャラクターが多かったんですよね。めっちゃ陰か、めっちゃ陽で、ニュートラルな役があまりなかったので、今回は新鮮でしたし、ちょっとだけ自分を知れた作品でもあると思います。
――自分を知れた?
吉村:たとえばこれまではナイフを持ち出したり、お金持ちのドラ息子で猟銃をぶっぱなしたりとかしてたのですが、洋平を演じてみて、女性に対しての気持ちだったり、さっきの振り回される感じじゃないですけど、自分もこういう感覚わからなくないなとか。自分も細かいことにこだわったりするという発見はありました。
この先、保育園に娘を迎えにいく良きパパみたいなものもやってみたいです(笑)。これまでに求められてきたキャラクターもやりつつ、幅を広げられたら嬉しいです。